モブサイコしかりワンパンマンしかり、最強系主人公というのが一時期流行った。チンパンジー並みの読解力でも存分に楽しめることから【最強ランキングTOP10】とかでキャッキャできることもあり、10~20代のエネルギッシュなファン層を獲得したことにより人気は加速度的に大きくなった。
「主人公を最強にすればいいのか、簡単だな」と思った読者諸君は甘い。グラブジャムン並みに甘い。そんなんで面白くなるんだったらこの世からマンガ編集者という仕事は消えるだろう。漫画家はストレスの1つが減ってハッピー。違う、そうじゃない。「最強系」主人公こそ取り扱いが難しいのだ。Oneが特別 上手いだけで大抵の場合は「オレTUEEE系」と揶揄される部類のマンガに落ち着く。「え、オレまた何かやらかしちゃいました?^^;」をはじめとする“なろう系”主人公に僕のような読者が嫌悪感を抱くのは強さのバックボーン、苦労などが描かれていないことに起因することが多い。
で、今回 紹介する「殺し屋は今日もBBAを殺せない」は無敵系BBA(ババア)のマンガである。上400字に渡って必要性を説いた“強さの理由”を一切 説明せずに始まったマンガだったが、、、
殺し屋は今日もBBAを殺せない
無敵の老婆ギャグアクション!
野沢マコト、77歳。一人暮らし。好きな食べ物はカレー。
どこにでもいるちょっと偏屈な老婆。何故か殺し屋に命を狙われるが……
毎度、返り討ち。このBBA、史上最強につき。
引用:裏サンデー
『カッコいい婆が見たい!』という担当の一声で始まったのが「殺し屋は今日もBBAを殺せない」である。ので、あらすじは割愛。ただただ無敵なBBAをギャグ調で描いたマンガだ。
7月にようやく1巻が発売される新星のマンガ。色々と紹介したいことはあるが、まずは、
絵が好き
Webマンガ界において普遍的に不足しているもの、それは画力だと思う。せっかくの良いストーリー・設定があっても活かしきれずに連載が終わるのは画力によるものも多いと思っている。え?モブサイコは絵が下手でも売れたって?あんな特例を出すんじゃねぇ。申し訳ないがWeb漫画の頂点ともいえるOneの話はNG。ただ、モブサイコのアニメ見て漫画を買って「な、なんだこの絵は…」ってなってるファンも少なかったぞ。
中学生の従妹がそのパターンで、折角 新品で買ったというモブサイコ1巻をパラパラっと読んだだけですぐに「違かった。ヤフオクで売って」と頼まれたからして、絵、というのは漫画の重要なファクターなのは間違いない。
その点、「殺し屋は今日もBBAを殺せない」(なんて訳せばいいんだコレ、とりあえず以降『殺し屋BBA』とする)は1話から絵・構図が抜群に上手い。
キャラ絵はモチロン、
戦闘シーンだって見ごたえある。暴走活躍するキャラがジジィババァが多いにしろ、素っ頓狂さと戦闘が混じっているのが面白いし、その両方の絵をしっかりと描けているのはスゴイ。
1~4話は正直 微妙
尻上がりに面白くなっている殺し屋BBAだけど、1~4話が微妙すぎてな、、。今読み返すと、あっさり感が強すぎて面白味が薄れてしまってる感じがする。
もしこれで構図と絵の上手さがなかったら間違いなく僕は切っていた。もし僕が7話まで読んでいなかったら記事にすることもなかったと思う。なんというか、BBAに魅力が一切 掛かれてないのが僕的に致命的だった。無敵が魅力、で通用する小学生じゃない20代は中盤に差し掛かった僕だからな。いや、『強い』一点張りのBBAを描くのにしても、もう少しこう、ストーリーを絡めてほしかったんよ。
それが達成されたのが7話“籾山タカヒロ”の話だった。1~4話に比べるとBBAの尋常じゃない強者っぷりはないが
BBAの回想シーンがあったことが僕的には大きく、BBAに無敵以外の「人情味」が加わった感じがした。
話のオチとしても「え、そこ?」と首をかしげるような面白さもあった。僕的には7話が殺し屋BBAの分岐点。
9話もババァの人間性を描きつつ『え、ババァ分かってたんじゃないの?』っていうオチも良かった。回を増すごとに、どんどん面白くなってる。
もし読むのだったら6、7話くらいから読み始めてもいいと思う。というか6話以降から読み始めたほうがとっつきやすいと思うんだけど。BBAが無敵、絵が上手い、だけではやっぱりキツイよ。最強系のキャラにするなら魅力は必要不可欠。だと思う。
キャラが次々逮捕されてるけど…
ストーリー上、次々と依頼を受けた殺し屋がBBAを襲うんだけど、まぁことごとく失敗に終わるわけで。で、失敗に終わった殺し屋がどうなるかというとね、普通に逮捕されちゃう。
基本的に1話完結の殺し屋BBAなので次々に殺し屋が出ては失敗に終わり、次々と投獄されてる。テッコちゃんとか、魅力的なアホキャラとかも例に漏れず投獄されちゃってるので、残念に思う反面 「これからどうするんだ…?!」という不安を感じちゃうよ芳明 慧。
1話 使いきりなのかい?それともこれ以降にも登場するシーンもあるのかい?
とても好きな絵柄で、なおかつ尻上がりに面白くなっている殺し屋BBAなので、できれば末永く読みたいマンガだ。色々と不安があるが、それは僕の期待感の裏返しだと思う。
まとめ「殺し屋BBA」
殺し屋BBAって略称、よく考えたら内容とかけ離れてるな。ほかに呼び方ないのかしら。あったら教えてくれ。
ってなワケで「殺し屋は今日もBBAを殺せない」についてだった。マンガワンありがちな露骨なエロ・グロのない、スッキリとした作品だ。
現在 公開されている11話も面白かったので是非 読んでみてほしい。あ、先述したように「BBAが無敵」という設定を知っていれば基本的にはどの話から読み始めても大丈夫なので安心して、どうぞ。
40年前くらいの婆さん。 pic.twitter.com/vCdKjYTo5f
— 芳明 慧 (@Byoshiaki1) January 24, 2020