男に超おすすめ
なのがヴィンランド・サガという作品。
突然だけどあなた、「強さ」って何ですかね?
知力?腕力?経済力?まぁ色んな要素が「強さ」となり得るし、僕もそう考えてたんだけど、もっと奥深いモンなんじゃないかとヴィンランドサガを読んでて感じた。そんな既存の価値観に捉われない「本当の強さ」について考えさせられる作品であり、真人間製造マンガである。
メンズにとって、本作品を読んだか読んでいないかでは今後の人生観が大違い。男と漢くらいの違いがあるぞ。
かわいいキャラ出てくる?
もちろん出てくる。
な?単純にカッコイイ・カワイイキャラを見たいなら掃いて捨てるほどある他のマンガ読め。
ヴィンランドサガは基本 髭を蓄えた略奪ガチムチ剛力男による戦闘・暴力シーンの連続である。目の消費カロリーが多い。さらにはまったくカジュアルに読めないという点もデカい。歴史漫画としては最上位レベルに面白いのだけど、読者に一定の包容力を要する。いかにもな少年漫画のバトルとかを期待して読むには作品が重厚すぎる。脳の消費カロリーが多い。
というワケで、今回は歴史漫画として人気な「ヴィンランド・サガ」について。サガ、というのは主人公の出身地 アイスランドの言葉で「物語」という意味だ。
異世界転生や日常系のマンガもよござんすが、たまには斧で脳天をカチ割られるような衝撃が走るヴィンランドサガを是非 読んでほしい。
※ネタバレを含みます!
1コマたりとも余計な情報は入れたくねぇ…
という方はブラウザバック。細心の注意を払って記事にしますがネタバレはネタバレ。余計な情報を入れたくない方は注意してね。
もくじ
マンガ「ヴィンランド・サガ」
ネタバレ含む概要(あらすじ)紹介
ちなみに僕はアニメから入った。
Amazonのプライムビデオで見られたりするから、是非 契約している動画サービスを確認してほしい。原作(マンガ)とは物語の入りちょっと違うけど、個人的にはアニメ版の方が導入として分かりやすく、トルフィンに感情移入がスムーズにできたので良かったぞ。
それでは、あらすじについて簡単に紹介していくぞ。
地獄のような時代
物語の舞台は11世紀。
北欧の地は暴力と略奪の限りを尽くし、蛮族と恐れられた"ヴァイキング"によって戦火にまみれていた。
現代の価値観からすると考えられないが、時代が時代。
主人公たち"ノルド人"にとって「戦争は良くないこと」なんて意識は欠片もなく、
力こそが正義。
どこぞの世紀末のような暴力が蔓延る時代。守るための武力ではなく、侵略するための暴力を持つことが是とされていた。
戦争は男の価値観を上げる最良の場になっており、武勇と富こそが最上の価値とされていた。略奪は勝者の矜持であり当然の権利。非暴力なんていうのは臆病者の戯言であり、仲間外れにされてしまうような戦乱の時代に主人公たちは生きていた。
「本当の戦士」とは何か?
戦乱の渦中からちょっと離れた痩せた島(アイスランド)で育った主人公トルフィン。
他の子どもたちと同様に「敵を倒す!」と意気込む。
良く分からないまま剣を見つけ、妖しい光に見惚れてしまう。しかし、
「剣は人を殺すもの」
と、父親トールズ。
…
…
お前に敵などいない
誰にも 敵などいないんだ
傷つけて よい者など
どこにもいない
という父親の言葉。
どれだけ腕力が強くても到達できないような「本当の強さ」について考えさせられるのがヴィンランドサガという作品 全体を通しての所感だ。
親の仇の下で働く主人公
しかし、そんな偉大な父もアシェラッドと呼ばれるヴァイキングの首領の計略によって殺されてしまう。
復讐のため戦場を駆け抜けるようになったトルフィン。
行動を共にしているのは仇敵のアシェラッドの軍団。
はぁ?闇討ちしちゃえばいいじゃん?
それはその通りなんだけど、トルフィンは「戦士」として、一対一での決闘においてのみアシェラッドを殺すことを至上の目的としている。
賊として重要な役割を果たす褒美として、一対一の決闘が与えられている。そんなワケでアシェラッドを殺すために、生きるために人を殺す毎日。
怒りが怒りを生んで、次々に人が死に、世の中が地獄になっていく世界で生きていく主人公の危うさ、脆さが見ていてキツかった。
慈悲や誠意なんて持ってても仕方ない
なんて残酷さに徹しきるために心を無くし、ただアシェラッドへの憎しみに生きていくトルフィンだったけど…。。
マンガ「ヴィンランド・サガ」
とっても良かったポイント
マンガの「ヴィンランド・サガ」を読んでみて、素晴らしく良かったポイントをかんたんに紹介するぞ。
圧倒的 画力!!!
まぁもうここまで律儀に読んでくれた人ならお察しの通り、とんでもない画力のヴィンランドサガ。
僕は最近Webマンガをメインで読んでるんだけど、正直 ここまでの画力の漫画にはいまだ出会ったことない。「絵が上手い」のレベルを逸脱してる気がする。イキイキとした絵?というのか、キャラが本当に意思を持って動いている感じ。とにかく読んでいて次の展開が気になる、長年いろいろなマンガを読んでいても中々出会えないレベルでズバ抜けてる。
躍動する戦闘シーンは勿論、
登場人物の心が揺れたり震えたりする描写が鮮やかすぎる。
オッサンの渋い顔…?
これじゃ分からんよ!!!
は?読め。作品を読め。言葉で説明するとダラッとべたつくからな。言葉は体験を裏切るから是非、本編を自分で読んでほしい(アニメでも良いぞ)。一度読み始めたら8巻までは読み手が止まらないから上のコマの虚しさも良く分かると思う。
トルフィンの変化
「成長」というと正確じゃない気がする。
「進化」でもなく、「変化」という言葉がピッタリくる。
先述の通り、とんでもない暴力と略奪の時代で地獄のような戦場を駆けた主人公のトルフィン。
憎悪と闘争、
死と破壊、
絶望と後悔、
哀しみと再生。
などなど、とても説明しきれないくらいの重厚なストーリー。マンガのキャラとしての人間味が尋常じゃない。常軌を逸した経験を圧倒的な画力によって丁寧に描かれているからこその人情の厚さ、懐の深さを感じる。
トルフィンを通して、読者全員、本当の強さについて考えさせられること間違いなし。
主人公級が3人以上いる
そんなワケで主人公はトルフィンなんだけど、ぶっちゃけトルフィンを差し置いても主人公になれるような魅力・個性が溢れるキャラが多かったヴィンランド・サガ。
トルケル
雷神トールの生まれ変わりと称されるくらい、屈強なヴァイキングの中でも突出して戦闘力が強いのがトルケル。細かいテクニックとか戦略とか関係なく、力で捻じ伏せていくスタイル。
結局強いオッサンが暴れまわってるときが一番面白いんだよなこの漫画
という感想は大抵トルケルのせい。
奴隷編・農場編が面白くなくなっちゃうほど刺激的なキャラクターなのは間違いない。頭がヴァルハラ。
…
…
ちなみにアニメでは声優を大塚明夫さんがやってたりする。
この上なく合ってる…
そういえば初めてヴィンランドサガを知ったきっかけがYoutubeのトルケル動画だった。暴力エンジョイ勢なのに不快感が少ないのが不思議。
アシェラッド
まさに「親の仇」のアシェラッド。設定だけ見るとマジで最悪。初見だと「はやくコイツ死なねーかなぁ!!」と思わざるを得ないんだけど作中屈指の人気キャラだったりする。というか序章はトルフィンより輝いてた。とてつもない頭脳と分析眼を持っており、野蛮な暴力・言動も思いのまま。
ヴィンランド・サガは8巻までが一番面白かった…
という人が少なくないのは大抵アシェラッドのせい。正直 8巻まではトルフィンの無謀な強さよりもアシェラッドの狡猾さとか「なんでコイツこんな魅力的なんだ…?」という興味で読み進めてたよ。
抜け目がなく残忍な戦略・行動も躊躇なく決行するが、
確固たる「芯」を持っているのが超魅力的。若くてエネルギー溢れるキャラが魅力的なのは普通であり、全盛期を過ぎたようなオッサンの野望だとか信念だとかをギラッとカッコよく描かれているのがヴィンランドサガ。
……
血生臭い戦闘、ピリピリ張り詰めた政治描写がどちらもとっても刺激的で面白く仕上がっていたのはアシェラッドの存在が大きい。ただの悪いヤツと形容できない、ヴィンランドサガを語る上で絶対に欠かせない重要キャラだよ。
クヌート
デンマーク王の息子、クヌート。
もともとは信心深く、ひ弱な性格。だったんだけど、王族としての重圧やら跡目争いなどに巻き込まれ、本人の意思に反して戦場に行かされるような環境で、
怒涛のビフォーアフター。
多くの人の死、大切な人の死によってクヌートなりの世界の真理に気付く。どれだけ望んでも叶えられない願い、残酷な世界で生かされていることに憤慨。それまで誰も考えなかったような「楽土建国」を目指すようになる。
混乱と破壊の担い手であり恐怖の略奪者ヴァイキングを率いて、人が神から与えられたとされる罰に刃向かう。
崇高な目的のために少しの犠牲は厭わないような帝王になったクヌート。権力にまかせて無茶を通すことも辞さない姿勢。無差別に功利主義的な最大多数の最大幸福を目指すクヌートの徹底した帝王っぷりと、揺るぎない決意がスゴイ。見応えがありすぎる。
トルフィンが怒りと殺しから解放されていくなかで、徐々に殺しと怒りの螺旋に身を置くようになるクヌートが大局的に描かれているのもポイント。是非 本編で読んでみてほしい。
マンガ「ヴィンランド・サガ」
グッときた場面・名言
マンガの「ヴィンランド・サガ」を読んでみて、グッときた場面や名言を紹介するぞ。
愛ではなく、差別
愛とは何か?
という問いへのキリスト教徒の言葉。
…
なかなか触れることのない、新しい見方だと思った。
もちろん、これが真理だとは思わないけど、納得させられてしまう部分があるのも事実。個人個人の愛(≒差別)が地獄を作っている中世においては的を射ている気もしなくない。
ちなみに幸村さんだと「プラネテス」という作品も同じように「愛」について学べるので気になったら是非。
大きすぎる富は災いを…
奴隷農場編に出てくる大旦那様の名言。
大き過ぎる富は災いを呼ぶ
富を増やしては失うことを恐れ
恐れをやわらげるために金を使い また稼ぐ
その虚しさに あのバカ息子は気づかん
…
男にかけられた呪い
戦争が好きっていうのは…
男にかけられた呪いみたいなもんだな…
心にくすぶって なかなか消えない
呪いの埋火だ
学童でバイトしてるときにも思ったけど、大人しい男の子でも剣とか銃が好きだったなぁ。良く分からないけど武器に好奇心を引かれてしまうのは上の通り、呪いの埋火なのかしらん。
あんなもん勇気じゃねぇ!!
同じく奴隷農場編での名言。
なのに…オレには…
だまって嗤れる勇気がなかった…!!
名誉・威厳を守れ、という価値観から離れた瞬間の名言。
侮辱を受けた戦士の取るべき道は「殺す」or「死ぬ」しかない時代なのに、上のような考えに至るまでの経緯が丁寧にされているのが奴隷農場編。僕としては序章よりも学べるポイントが多かった気がする。
とりあえず読んどけ!
総括:ヴィンランド・サガ
男は絶対に読むべき
であり、読んだ後に背筋がピンと伸びるような、とにかく面白い傑作マンガ『ヴィンランド・サガ』だった。マジで20歳を超えたら一度は読むべき作品。なんでコレが僕の周りで読んでるヤツがいないのか謎。節穴か?流行りモンに飛びつく前にヴィンランドサガ読め。
過酷な運命を背負いながらも、四苦八苦しながらも変化していくトルフィンの成長は必見。そりゃ現実を恨んで歪むこともあるし、過酷な運命に振り回されてしまう場面も超多いけど、
次第に 強靭な意志が宿る。
男として惹きつけられる美しさを帯びていく。
この後の数コマが言葉に出来ないくらい感動するんだけど、さすがにネタバレがすぎるので割愛する。アニメは丁度 そこまで放送されたから気になったら人はマジで観てほしい。
一貫して運命を受け止め、自身の信念に背くことなくヴィンランドに向かう主人公トルフィン。「本当の強さ」とはどういうことなのか、奴隷農場編を読み終えたときには、読者のあなたはきっと強く深く知ることになる。
超おすすめ!
それでは。
200万冊以上が読み放題!
Kindle Unlimitedでは「ヴィンランド・サガ」のようなマンガの他にも小説やビジネス本、実用書や雑誌など幅広いジャンルを好きなだけ楽しめるぞ。無料で読める本も多く、アプリから直接本をダウンロードすることによってオフラインの時でも快適な読書ライフが満喫できる。普通に購入するより安かったり、50%OFFや無料キャンペーンなどをやっていたりするので、少しでも興味があれば以下のリンクから確認してみてね。
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