殺し屋の殺し屋
という字ヅラからして素晴らしく物騒なテーマを持つのが『ファブル』という漫画。筆者の周囲にはファブルを1巻も読んだことがないヤツがいるが、1巻しか読んだことのないヤツは一人もいない。一度読んだら最後、少なくとも第一部が終わるまでは絶対に読み止められない禁断のマンガである。
『殺し屋1』みたいな感じ?
あっちはラブコメだがイメージとしては近い。ラスボスが人外というか、いっぱい頭のネジが外れちゃってる様は似ている。
広告でチラッと見たけど、ちょっとリアリティーのある「オレつえー系」でしょ?
まぁイイ線いってるけど、そんな単純なカテゴライズには決して当てはまらないのがファブルである。主人公が桁違いに強いというと単純明快な設定の他、色々とオリジナリティが強い。たまに芯を喰ったようなコトを言っている(ような気がする)魅力的な悪役がいたりするのも面白い。
公園のブランコにしろ
人生にしろ同じさ─
ケガしながらケガしない方法を学んでいく─
だからこそ自尊心は持ってなきゃな
自分さえしっかりしてりゃ人生は楽しいのさ─
というワケで、今回はマンガ「ファブル」について。
※ネタバレを含みます!
1コマたりとも余計な情報は入れたくねぇ…
という方はブラウザバック。細心の注意を払って記事にしますがネタバレはネタバレ。余計な情報を入れたくない方は注意してね。
もくじ
マンガ「ファブル」
ネタバレ含む概要紹介
まず最初に断っておきたいのが、「ファブル」という作品の物々しさ。死や暴力を生業とする登場人物による"ヤバさ"を孕んでおり、しかもそのことが奇妙な魅力に昇華されている。ド派手なアクションはなくとも異様な熱気を醸し出している。音楽としてはEverything Everythingの「No Reptiles」みたいな感じ。
ファブルのあらすじ
“寓話”と呼ばれし、風変わりな“殺しの天才”が、この街にひっそりと棲んでいる──!!
まず、主人公は二人。
殺しの天才であり、裏社会では(寓話のように強いことから)ファブルと呼ばれる殺し屋集団の2人である。ちなみに本名はなく、仮名。
休業殺し屋のゆるふわライフかな…?
まったく違う。
…いやそういう部分もあるけど、基本的には「この展開、ヤバいのでは…?」と緊張感が張り詰めたようなシーンが多い。ギャグとシリアスの絶妙なバランスが素晴らしく面白いマンガ、それがファブルの魅力に違いない。
マンガ「ファブル」
とっても良かったポイント
マンガの「ファブル」を読んでみて、素晴らしく良かったポイントをかんたんに紹介するぞ。
感情が乏しくも素直な超殺し屋
メインキャラクターの佐藤明(アキラ)。
作中最強キャラであり、仕事は完璧にこなす暗殺のプロ。基本的には苦戦しない。善戦もさせない。感情表現が乏しいので、読み始めた当初は若干 寄生獣の島田とダブってみえた。
しかし、決して冷酷一辺倒ではなく、人間的な感情も持っているのでは…?と読者に感じさせる温かさが感じられる一面も。
………
良く分からないけど主人公が滅茶苦茶強いという派手な設定にも、なぜか納得させられてしまう不思議な空気感。
いや、やっぱり分からん。
何だこの顔。
日常ギャグパート
こちらもメインキャラの佐藤洋子。
記憶能力に長けた暗殺のプロであり、酒に滅法強いミスアルコールガール。ファブルでは緊迫したシーンとは別に、洋子による酒バトルシーン(男遊び…?)も楽しめるようになっている。
というか
本編よりも好き!
というファンも多い洋子の酒飲み話。
映画では削られてしまったが、テキーラ王子(ペ・ダイヨチャ)との勝負がアツい。広告でも猛プッシュされているように、シリアスよりも日常ギャグパートの方が好きという方も多いっぽい。
巨悪が小悪党を飲み込む展開
胸糞悪い展開もあるので多少は人を選ぶ作品ではあるが、小悪党が巨悪に飲み込まれるような奇妙なカタルシスも得られたファブル。頭のネジが完全に吹っ飛んだボスが終盤に出るから楽しみにしててね。
………
ちなみに
作品を読んでみて、
語尾を伸ばし過ぎじゃないか?
と思う人もいるだろう─
これは罫線(けいせん)や───
うまく説明できんが──
映画を見れば一発で分かる──
マンガ「ファブル」
グッときた場面・名言
マンガの「ファブル」を読んでみて、グッときた場面や名言を紹介するぞ。
人は相手の持ち物を見て…
人は相手の持ち物を見て
判断する奴が多い
そうゆう奴は根こそぎ
出し抜いてやれ!
相手の着ているスーツや腕時計やらで判断してしまうコトがたまにある僕も気を付けたい。
自分への自信の在り方に…
それってスゲーよな
自分への自信の在り方に芯があるから
そう思えるんやな
俺なんか どうしても見栄を張りたく
なっちまう─
車や女や飯にも
…
自分の成功よりも…
俺たちの世界じゃ自分の成功よりも─
他人の失敗のほうが重要なの─
わかる…?
分かりそうだけど分かっちゃいけない気がするのは僕が今、劣悪な環境にいるからなのか?
過保護は良い!
過保護は良い!
この上ないカモになる─
傷つくこと…
思い通りにいかない事…
そういうのに免疫のない─
そういう子供をもっと増やそうじゃないか─
…
知恵と工夫が
できない子供が増えたら─
こりゃビジネスになる
現代への風刺がこれ以上なく効いた名シーン。子供チキン編は名言が多いので是非、一読してみてほしいところ。
本当に善意があっても…
リハビリに励む女性を見て、的確にアドバイスをするも「変なおせっかい」と一蹴されてしまうアキラ。
……
本当に善意があっても─
まわりからは偽善と取られがちだ
何もできないヤツが
何かできる者を
冷やかしてチャカす
たとえばネットがわかりやすい─
でもそれでいいんだよ─
本当にできるヤツは─
誰に何を言われてもやり切る
この世に向いてない人間だっている
自殺なんて─
死にたいヤツは死ねばいいんだよ
この世に向いてない人間だっている─
だが死に場所と死に方は
選びてぇもんだ─
とりあえず読んどけ!
総括:ファブル
風格のある「オレつえー系」
と形容すればいいのか、とにかく面白い傑作マンガ『ファブル』でした。
オレつえー嫌いなんだけど…
うそうそゴメン。「オレつえー系」って言っちゃうと字ヅラが貧弱だけど、ファブルはもっとこう、重厚感のある「オレつえー系」といいますか…。主人公は「オレまたなんかやっちゃいました?」的な素振りは一切なく、悠然としている安心感があるぞ。
痺れるようなカッコよさもあり──
とんでもなく面白いから少しでも気になった方は是非─
それでは────
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