疲れてんだろ?『響子と父さん』読めよ。

1巻完結の漫画について、これまでいくつもの漫画を読んできた読者諸君はどうお考えでしょうか。

僕は非常に難しいものがあると思う。1巻じゃ色々と描き切れない場合が多い。というか打ち切られてる場合が多い。いくら描きたいものがあっても世間に、編集者に打ち切られてしまうのが漫画大国 日本だ。『キャラの個性やストーリーの構成など、深みがありません。☆1で。』じゃねぇ。あっても描けねぇんだ。漫画家に殺されても文句は言えんぞ。

 

深みやらを出すにはやはり、ある程度の話数は必要になってくる。そして、今回紹介する「響子と父さん」という漫画は“日常”がテーマだ。

 

なんにもない、ありふれたような日常。そして1巻完結。さぁいよいよ打ち切り臭が出てきた。いいぞ。

 

 

 

 

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響子と父さん

長女の響子さんはイラストレーター。母親が旅行で留守中、インスタントラーメンばかり食べている父親が心配で、ついつい口うるさくなってしまう。一方の父親も年頃の娘が心配で仕方なく…。次女の春香は色々あって現在…行方不明。どこかで無事でいるのだろうか…? 家族の落ち着かない日々は続く――。

奇才・石黒正数が「家族」を描くと…こんなにも面白いのだッ!! 父と娘のどこか可笑しくてどこか温かい日常を描いた、石黒版「家族の肖像」! 『ネムルバカ』番外編も収録!!

引用:Amazon

響子と父さん』は打ち切りでもなんでもなく、短編集を得意とする石黒正数の6作品目となる作品だ。

 

僕が石黒作品の好きなところに

  • クセの少ない読みやすい絵
  • 軽快なセリフ回し・コマ割り

がある。響子と父さんでは、それらを一巻(6話)という短さの中でも十分に堪能できる良作となっている。

 

 

クセの少ない読みやすい絵

こんなそこらじゅうにいるようなオバサン良く描けるよ石黒正数。

 

石黒正数6作品目の連載作品ということもありキャラ・背景の欠きこみ等 文句の付けようなく見やすい出来になってる。『それ町』クオリティを求めても大丈夫なレベルには既になってる。月刊だったこともあって割と仕事に余裕があったのかな。

 

先述したように僕は石黒作品の絵が好きなんだ。ゴテゴテした萌えなどを排除してるところが特に好きだ。そりゃ誰しも美しいものは好きなんだろうけど、こうもメディアのそこかしこを美男美女で埋め尽くされるとなぁ、おじさん胃もたれするんだよ。美男美女の過剰摂取はイカンよ。で僕は最近 Pornhubでは『ちょいブス』で検索するようになったワケだよ。人間って不思議だね。

 

 

 

とにかく石黒正数の絵は、そういった現世のルッキズムにヘトヘトになった人達には癒しとなるのでおススメだ。良い例として石黒正数の代表作品『それでも町は廻っている』の主人公 嵐山歩鳥のクラスメートを見てみよう

 

引用:http://ohtanouen.blog96.fc2.com/blog-entry-1324.html

 

どうよ、この絶妙なリアルさ。誰かの卒業アルバムかなんかを参考にしてなきゃおかしいくらいの、ちびまる子ちゃん並みのリアルなクラス編成。僕の中学のクラスにも森と小野寺に激似の人達がいたなぁ。

 

この前紹介した漫画とかが本棚にあったら『こいつの趣味…』と思われちゃうかもしれないが、響子と父さんみたいな漫画を本棚に入れて友達に引かれることはまずない。むしろマンガ好きでも知ってる人の方が少なそうな「響子と父さん」なので僕なら謎の親近感さえ抱くよ。

 

 

なんといっても話の愉快さ

1話完結なので冗長なことはやってられないのだが、それにしたってテンポが良い。サクサクと話が進んでいく。日常系ということもあってドカンと笑えるようなことはないけど、体感的には2ページに一度はクスクスと笑っていた。いい。こういう漫画もいいもんだ。癒される。

 

 

あっと驚くことはないものの、たまにやってくる非日常にドキッとして、時折感じる優しさ懐かしさを丁寧に描いた良作だと思う。

 

 

 

というわけで何度も言うように『響子と父さん』は日常がテーマの作品だ。巨人が襲来したり家族が殺されて鬼になったりといった劇的なストーリーではないものの、ここまで読み手をグッと漫画の中に引き寄せられるのは石黒正数の手腕に他ない。僕の中の『漫画家の中で評価されている漫画家』ランキングNo.1。石黒正数は凄いんだ。

 

 

ネムルバカ』を読んでいると巻末のネムルバカ番外篇2『春香と父さん』まで楽しめると思うけど、僕のように別に読んでなくっても十分 『響子と父さん』の延長線上の話として楽しめるだろう。

 

 

 

長編物を追うのに疲れたら、こういう漫画も良いもんだ。是非 石黒正数の描く日常に癒されてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

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