希望職と天職の乖離 孤高のギャグ漫画『デトロイトメタルシティ』を今こそ読め

面白いんだけど本棚には置きたくない…という漫画がある。部屋に誰かを招いたときに自身の評価にマイナスに働くような漫画・本は誰だって置きたくない、という心理だ。分かるよ。自己啓発書ばっかりのヤツとか、何かイヤだろ。女だったら恋愛テクニック本ばっかりのやつとか、距離置きたくなるだろ。

 

そういう漫画の筆頭がコレ。名前をデトロイトメタルシティという。僕が中坊のときに学校に持ち込んで先生に見つかり、危うく親を呼び出されそうになったというエピソードがある。NARUTOとか一般的少年漫画は放課後 職員室に取りに行き『もう持ってきちゃダメだぞ』とちょっぴり叱られて返却されるところがデトロイトメタルシティの場合は親呼び出し一歩直前。中学生ながらに必死に平謝りして事なきを得たが結局 返却されず、あの漫画の行方は現在も不明。恐ろしい漫画だぜ…

 

どんな漫画なのか。Wikipediaを見てみよう。

『デトロイト・メタル・シティ』 (Detroit Metal City) は、若杉公徳による日本のギャグ漫画。

ギャグ漫画。ギャグ漫画…?!

 

全然説明できていない。クラウザーさん率いるDMCへの冒涜だ。執筆者は既にSATSUGAIされていることなので僕が代わりに筆を執らせていただこう。

 

 

 

 

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デトロイトメタルシティとは

地獄から来た悪魔と称されるインディーズ・メタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(DMC)」のフロントマン「ヨハネ・クラウザーII世」。その実態はオシャレなポップ・ミュージックを愛する平凡で弱気な音楽青年・根岸崇一である。

自分のやりたい音楽では誰からも認められない根岸だが、クラウザーとしてステージに立つと秘められたメタルの才能を発揮し、必ず信者(ファン)たちを熱狂させる。東京タワーでの突発ゲリラライブや映画出演、果ては警察官への暴行といった「伝説」を重ね、さらに自称ニューヨーク帰りのラッパー「鬼刃」、パンク・ロックバンド「金玉ガールズ」、ブラックメタルの帝王ジャック・イル・ダークといった他アーティストとの対決までもことごとく征し、クラウザーはよくも悪くもインディーズ界の注目を集める存在となってゆく。

引用:Wikipedia

エピソードとしてはこんな感じだ。

ポップミュージシャンを目指す根岸が好きでもないデスメタルの才能を極限まで発揮してしまうというギャグマンガ、という風になっている。

 

2008年には松山ケンイチ主演で実写化して、珍しく”実写化成功”とも評価される作品になった。映画は興行収入20億円を超える作品になり、世の中に数多くの影響を与え、松雪泰子に『Fu〇k』と口にさせたり、公然猥褻カット(マッシュルームカットのこと)、エコノミック雌豚、代官山オシャレファック等 様々なパワーワードを世に浸透させた。映画が地上波で放送されたときはNGワードが軒並み効果音でカットされたという伝説が残っている。

 

☝実際に曲になってMVも作られた『SATSUGAI』

 

そんな未だに語り継がれる(一部で)伝説的漫画だ。絵はお世辞にも上手いとはいえないものの、「このマンガがすごい2007 」や「このマンガを読め2007 」で1位に輝いている。一体 何がそこまでウケたのか。女性ウケ最悪そうなのに。今回はそれについて。

 

 

 

弱気な音楽青年・根岸崇一というメタルモンスター

上のように主人公の根岸はポップとお洒落を愛する気弱なゴボウ青年だ。が、大好きなポップでは全く芽が出ない。女友達の相川さんと後輩の佐治君以外からは全く目も当てられないどころか小馬鹿にされてしまう。

 

 

ホントどんなことしても芽が出ない。むしろ頑張れば頑張るほど、努力すれば努力するほどバカにされてるし夢から遠のいてる。

 

相川さんの紹介で出会ったお洒落界隈の人達からは酷い評価を受ける。ってかお洒落界隈に限らず、ありとあらゆる人から小馬鹿にされる。エコしても笑われる。スイーツ占い行ってもギョーザと言われる始末。世間が根岸に厳しすぎる。

 

 

 

で、そんなつもりに積もった日々の鬱憤が根岸をクラウザーさんに変える(といっても衣装に着替えるだけだが、)。

 

普段の生活では全く脚光を浴びない根岸だが、デスメタルへの才能は突き抜けているようで、クラウザーさんとなった途端にカリスマ性が溢れ出す。やりたいこと(お洒落ミュージシャン)と天職(デスメタル)の乖離がすごい。

 

技術的にはなんだかんだプロレベルの根岸だが、クラウザーさんと化したときのパフォーマンスが狂気的で多くのファンを誤解魅了させている。テーマパークにいた小さな子供から街のヤンキーまで即信者にするし、対バンしたバンドは軒並み潰してる。なんならライブハウスを火の海にしたりしている。

 

 

根岸がどういうわけで社長の目を引き、DMCに入ったのかは描かれていない。が、しきりに社長が根岸をクズ、最低のゲロカス野郎と罵っている褒めている。

 

 

話が進むごとにメタルの才能に人格を喰われていく根岸も必見だ。

 

 

普段は温厚なゴボウが滅茶苦茶をする、というのがストレス発散にもなる面白さを醸し出してたんだと思う。

 

すげぇぜ根岸、やっぱりお前がメタルモンスターだ。

 

 

見やすい絵とワケわからん擬音

若杉公徳氏の絵はまぁ、上手くはない。ファンの僕でも上手いとは言えないからして初見では見切られてしまう場合もあるだろう。

 

つっても僕はギャグマンガには画力なんて無用の長物のようにさえ思ってる。お笑い芸人は不細工の方が面白いし笑えるもんだ。イケメンってだけでもう面白くねぇよ。チャンネル変えたくなってくる。マンガでいえば『ボーボボ』で腹を抱えて笑わなかったかね君達。『ふわり!どんぱっち』で肩を落とさなかったかね?

僕たちが見たかったのは

 

 

これであって、

 

 

 

これじゃなかっただろ。

 

どうしちまったんだよ澤井。戻ってきてくれよ。

 

 

 

話が脱線した。戻そう。

つまりギャグマンガにおいて画力は”必要最低限あれば良い”ってことで、デトロイトメタルシティもその好例だ。誤解しないように言っておくが若杉の絵は一概にヘタとはいえない。ギャグのときはギャグだって分かるし、シリアスも迫力のあるシーンだって描ける。

 

上手いとは口が裂けても言えないが、下手とは断定しきれないような絵だ。少なくとも僕は見やすいと思う。

 

 

そして、若杉の擬音のセンスは非凡だ。具体例を見てみよう。

 

 

 

 

歌を歌えば『ヘピョン ヒャコヒャコヒャコ』。

 

 

いけしゃあしゃあとオタクが喋れば『ヘケ』。

 

若かりし頃の僕はなんとなくゲラゲラ笑ってファンタこぼしてたが、今になってわかる気がする。凄まじいセンスな気がする。若杉の漫画が何故面白いかには、この独特の擬音が間違いなく関わってる。普通の漫画家には『ヘピョン ヒャコヒャコヒャコ』なんて思いつかない。なんだよヘピョン ヒャコヒャコヒャコって。

 

凄すぎるぜ若杉。唯一無二の擬音センスだ。

 

 

考察力・想像力が高すぎるファン

勘違い系漫画」というジャンルがある。弱い主人公が偶然や勘違いの連続で強いと思われたり成り上がったりする漫画のことだ。特攻の拓みたいな。読んでいてハラハラするが面白いというアレだ。

デトロイトメタルシティにもそういった要素がテンコ盛りだ。ファン達の考察力・想像力が異様に高すぎる。

 

 

クラウザーさんが東京タワーをレ〇プする、という回がある。文字に起こすと「あ、井家また頭おかしい」と思われてしまうが事実である。クラウザーさんが東京タワーをレイ〇するのだ。大丈夫なのかコレ。〇イプって書いちゃって。アドセンスから警告来そうでシビれるぜ。

 

(追記:来ました)

 

 

 

で、クラウザーさんの東京タワーレ〇プなんだけど、ファン達の解釈がスゴイ。

 

時間になってライトアップしたら

 

 

雨が降ったら

東京タワーが濡れてる』という漫画史上に残る名言が生まれた。どういう頭してんだよ若杉。

 

ファンの考察力がハンパない。好意的な解釈とかそういう次元じゃない。ちなみにクラウザーさんが東京タワーを孕ませて六本木ヒルズができた、ということになってる。ホントどういう頭してんだよ若杉。

 

 

漫画は終始 そんな素晴らしいファンの鑑共がわちゃわちゃしてる。楽しい。

デトロイトメタルシティの魅力を語る上では『ファンの人達』は外せない。漫画においても骨子となっている重要な存在だ。

 

 

 

 

ってな感じで今回はデトロイトメタルシティを紹介してみた。ここまで来るのになんと4日かかった。なにか書こうとすると必然的にNGワードで文面がアレになるので非常に苦戦した(結果アドセンスから警告は来やがったけれども…)。ホント、よく実写化したなこの漫画。

 

 

冒頭ではギャグ漫画じゃない的なことを述べてしまったが、流石に無理があったわ。デトロイトメタルシティは高度なギャグ漫画だ。高度すぎてギャグをギャグだと分かってくれる人以外に勧めると人格を疑われてしまいかねない危険な漫画でもある。フェミニストに勧めるときは縁を切られる覚悟で臨んでほしい。

あ、あとメタルファンへの安直なおススメもやめておこう。下手するとぶん殴られる。くれぐれもデスメタルをやってる人=クズor最低のゲロカス野郎、という認識はリアルに持ち込まないように。デスメタルを主題にメチャクチャ描いてるだけで若杉公徳にはメタルの知識はない。インタビューでも『本当にメタルが好きだったらこんな漫画描かないですよ』って言ってる。

 

縁を切られたりぶん殴られたり、漫画を紹介してるとは思えない文面になったが、デトロイトメタルシティってのはそういう漫画だ。下ネタ・物騒な表現のないページを探す方が難しい。

 

男、それも何かに鬱憤を感じているような奴等には超おススメな漫画だ。読了後はきっと君もデトロイトメタルシティの狂信的ファンになって、YouTubeで『SATSUGAI』を爆音で聴いて昼夜問わずブンブンとヘッドバンキングしてることだろう。

 

 

女性の方には…どうなんだろうこれ。彼女がいる人は是非 紹介してみて反応を教えてくれ。責任?そんなもん知るか!

 

 

 

 

 

 

 

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