一時期『キモカワイイ』という言葉が流行った。「アンガールズ」だったり「キモリ」だったり「こびとづかん」だったり、彼等はキモイながらも大衆にウケる可愛さを備えたキャッチーな存在だった。カワイイものがそこらじゅうに氾濫する余の中では「ちょっとキモイ」くらいはアクセントとして捉えられるのだ。こんにちは、めっちゃキモイです。井家です。
枕が長いって小言を最近 聞くようになったので早速、本題に入ります。今回 紹介するのは裏サンデー(マンガワン)で連載中のマンガ「侵略好意(しんりゃくこうい)」。キモカワイイよりも「絶妙にキモイ」という形容が似合うパワー系コミュ障の主人公イソラちゃんが頑張っている漫画だ。
侵略好意
それではまず、あらすじから。
父親との死別、母親の蒸発、度重なる転校。主人公のイソラは引っ込み思案な性格もあり、友達ができず、クラスでも浮いていた。
「クラスに暴漢が乗り込んできて、それをかっこよく退治できたら友達増えるかなぁ…」とか若干アホな男子中学生みたいなことを考えていたら実際に巨大な生物が現れて…
撃退するために、他の惑星から来たという宇宙生物“エゴノミミ”と初めてのリア友になり宇宙生物と戦う
という感じのストーリー。すまん。過去にないくらい簡素なあらすじ紹介になったけどホント、こんな感じだよ。別に「地球を救いたい!」とか「悪い奴等を滅したい!」、「鬼になった妹を救いたい!」みたいな明確な目的があるのでもなく、ただ単純にコミュ障な主人公の『友達を作りたい』という強い願望がメイン。ぶっちゃけストーリーとしてはかなり大雑把。
物語としては現在、 「友達(ゲット)の為ならどんなことでやる!!!!」という主人公の尋常じゃないパワーも手伝って、徐々に友達的な人達は増えている模様。がんばれイソラ。Isolated(孤独)から早く抜け出すんだ!
で、面白いんだけど気になったのがマンガの設定。右手に、、、寄生生物、、、?パラサイト、、、ミギー?!
寄生獣要素は、ある
新連載の作品には「〇〇に似てる!」とか『○○のパクリだ!』という感想を抱いては更に声高に発言する輩が掃いて捨てるほど現れる。パクリ、と無責任な読者は簡単に言うけど、そもそも誰かが思いついたアイデアを模倣して別の形で提案することで漫画はここまで世界規模な文化になったわけでな。悪く言えば漫画に限らず、どのジャンルも始祖のパクり。その模倣しきれなくて自分部分が出てしまったり、新しいアイデアを足してみた部分がオリジナリティだったりで、それがまた新しい模倣対象になっての繰り返し、って文化人が言ってたぞ。
で、この『侵略好意』、寄生獣っぽいところはある。『友達を何が何でも作りたい』っていう主人公イソラの熱い思い以外にはそこまで構成が練られていると分かるところがないので、まだ判断しかねる。が、今んところ
- 宇宙生物が体内に寄生
- そんな宇宙生物と共闘→右手が変形
- 宇宙生物に乗っ取られるパターンもある(人によっては足が変形)
など、文字にするとそれなんて寄生獣?って思っちゃうように、設定は似通ったところがある。が、もうそこは仕方ねぇよ。タコと女を絡ませるような変態的かつ天才的、独創的発想を持つ先代の日本人達が現在に至るまでアイデアを出し尽くした漫画分野で全く新しいアイデアだけで新たに漫画を描くなんて実質不可能だろ、いい加減にしろ!
たしかに寄生獣っぽいところはあるが、「侵略好意」に魅了された読者が少なくないのも事実。寄生獣のファンは、主人公がボッチでコミュ障、友達がいなくて更には女だったら、というオマージュモノとして楽しんでもいいのかもしらん。寄生生物の名前を「ミギー」とでも呼び出したら別だけど、そうじゃないならパクリなんていうべきじゃないと思う。僕は侵略好意を寄生獣のパクリとは全く思えないしな。
絶妙にキモイ、主人公イソラ
寄生獣に似てるとか似てないとか、そんなのはね、些事なんですよ。ぶっちゃけどうでもいい。僕はストーリーとかバトルよりも、主人公の一挙一動に魅了されてやまないタイプの読者だ。僕以外にも多分たくさんいることだろう。
冒頭で「キモカワイイ」ではなく「絶妙にキモイ」って形容が似合うって紹介したけど、我ながら的を射てると思う。マジで絶妙にキモイんだ。そこに痺れるグッとくる。
友達にジャージを貸してもらったら
友達だと思っている相手にナイフで腹をぶっ刺されたら
な、絶妙にキモイだろ。だけど底抜けに良いヤツなんだよイソラちゃん。もう一挙一動がキョドキョドしてたり空回りしてたりして可愛い。友達に話しかけるときは「お、おはよう…」という風にちゃんとドモるし、本棚にあるのは友達関係の本ばっか。ウィンクも下手くそだし、笑顔描写のオノマトペは「ニコ…」とか「にたぁ~~…」、「にまにま…」、「にへにへ…」とかばっかり。
これまでにコミュ障系を主人公にした作品は何度も見たけど、ここまで根暗っぷりとボッチ感が匂い立つ主人公は久しぶりに見た。ちゃんとコミュ障してるのでこれからの活躍に期待したい。
まとめ「侵略好意」
正直 絵はまだまだ粗削りだ。一巻をコミック(紙)で購入させてもらったけど、週刊誌で連載されてる作品に比べものにならないくらい粗削りだ。いくらキャラが僕のツボに入ったからと言っても、いきなり紙面で読んだら「う~~ん、絵がまだまだだなぁ…」となるのは必須、まともに読んでいなかった可能性さえある。キャラの表情は頗る良いんだけど、もう少し 描き込みを増やしていただけるとコミックでも映えると思うんだけど…
が、連載開始からどんどん上手くなっているのが目に見えるので、まずは5巻まで発行できるように頑張ってもらいたい。応援してる。今年は辛いことが多い作者 犬背 九二郎氏なので私情も含めて僕は超応援してる。色々と大変だろう。無理はしちゃダメだぞ。
週刊連載ということもあって滅茶苦茶ハードスケジュールだとも思う。が、コミックスを買う僕のような読者が知人に勧めるには絵がちょっとまだ粗削りなので、『マンガワン新・月例賞』で入賞したときのような画風に安定してなってくれると他人にも紹介しやすい。頑張ってくれ、犬背九二郎!
月例賞 受賞時の「侵略好意」はこちらから。
連載作品としての「侵略好意」はこちらから。
2021年4月15日 完結しました。
犬背九二郎先生、おつかれさまでした。。