【愚作?傑作?】待望の石黒最新作『天国大魔境』なんだけど…

どんなに有名で実力のある漫画家であっても、大傑作の後の作品が必ずしも売れるとは限らない。長門も「2作目は駄作になる…」って言ってたし、順当にいけばNARUTOを超える作品のはずだったサムライ8などで諸君等も学んだことだろう。いや、サムライ8も面白かったと思うけどよ。。

 

その点、石黒正数の最新作「天国大魔境」にかかる期待値はかなり高かった。それ町を知らずに日本の漫画を語るんじゃねぇ、とファンに言わしめるほど根強い人気を博した「それでも町は廻っている」の完結から2年も経たずに始まった天国大魔境。

 

 

それ町以外にも木曜日のフルットなどでウケている石黒正数であったので、まぁ次の作品も日常漫画で順当に面白いんでしょハイハイ発売日いつ?、と僕はタカをくくっていたがなんと今回の天国大魔境はSF。サイエンスフィクションなのである。知った当初は鳩に豆鉄砲喰らったような驚きだった。てっきりまたメイド喫茶タヌキ探偵的な漫画が読めると思ってたのに…

 

 

今回はそんな天国大魔境について。読む前から「このマンガがすごい!オトコ部門1位」を受賞してる、という情報が入ってしまっていたので、過度な期待をして読んでしまった結果………

 

 

 

 

 

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天国大魔境

それじゃあ簡単にあらすじ紹介から。

 

まず、物語はある天災によって文明が崩壊した世界が舞台。「天国」と呼ばれる謎のドーム型施設に住む”トキオ”をはじめとした少年少女たち、治外法権となった東京で「天国」を探す”キルコ”と”マル”のストーリーが交互に描かれる。

 

 

「天国」では大人の監視の下、数十人の子供達がキャッキャしながら過ごしている。

引用:天国大魔境①

 

 

一方 外の世界では荒廃した東京でキルコとマルの2人が「天国」を探して探索中。食料さえままならず、住居に不法侵入してようやく食い扶持をつないでいた。

引用:天国大魔境①

 

 

崩壊した文明の上を歩く二人だったので少女終末旅行のような感じかと思いきや、

 

 

引用:天国大魔境①

 

“ヒト喰い” “ヒルコ”と呼ばれる化け物が出てくる。

 

 

 

土地は荒廃し、文明は廃れた「外の世界」、管理された理想郷のような「天国」。一見まったく別に見える両世界だが、徐々に関係が分かってきて…

 

 

 

 

というのが2巻まで読んだ感想だ。姉弟イチャイチャ近未来キャンプSF漫画かと思ったら全然違った。ほのぼの系かと思って読んでたら人間が化け物に3枚に下ろされた後、捕食されたのは驚いた。まさか石黒作品で鮮血が飛び散るなんて…

 

 

 

大丈夫なのか石黒正数 SF作品なんて…

石黒正数といえば日常モノだ。むしろ日常モノの漫画といえば石黒正数。時代と絵柄が違えば日曜日 夜6時半から放送されていたのは「それ町」だったのかもしれない。石黒正数に日常系漫画を描かせたら右にでるヤツはいない。これだけは譲れない。異論?そんなものは受け付けない。

 

 

で、そんな日常モノ漫画の権化たる石黒がSFを描き出したと聞いたときには耳を疑った。Twitterを見て目を疑った。木曜日のフルットはどうなっちゃうのかと心配になって出版社に電話しかけた(あっちはあっちで続いてる模様)。

 

 

「外天楼」以来のSF作品だから正直どうかな…と買うか迷った。それ町が長かっただけあって、SF、描けるのかなぁ、と。

 

 

そんな天国大魔境だったが、キチンと面白かった。先述したようなあらすじで、ダークな感じは漂いつつも、あっさりと面白いセリフ回し、ゴテゴテ萌え散らかさなくとも魅力的なキャラは健在。正直、1枚絵でズバッと迫力あるシーンを得意とする作者ではないと思っていたが、

 

引用:天国大魔境②

 

戦闘シーンは構図・テンポの良さでハラハラドキドキしながら読めた。なんでもそつなく描けるな石黒正数。

 

 

 

 

他作品連載時から貯めていたアイデアの集大成とだけあって、人や都市の変わりよう等も面白い。

引用:天国大魔境②

 

崩壊した後の世界を描くのだから独創性はさほど出ないと思いきや、退廃した世界での仕事観・道徳・生活などは石黒視点で丁寧に描かれており、壊滅的ダメージを受けた日本各地を巡る冒険譚としてだけでも読めるような興味深さがあった。

 

 

これまでの日常漫画を離れた石黒正数の天国大魔境。考察が捗り、続きが読みたくなるという点で間違いなく完成度の高いSF作品となっていた。

 

 

『このマンガがすごい!2019』でオトコ編1位…?

引用:天国大魔境①

 

1巻が出るや早々に『このマンガがすごい!2019』でオトコ編1位に輝いた天国大魔境だったので、「こんなのいいからフルットのページ数増やせ」や「アフタヌーンのゴリ押し受賞」、「やっぱり月曜日もフルットやれ」といった声が上がっていたので正直 心配しながら書店で会計を済ませた。

 

 

結果的には面白かったんだけど、まぁたしかに1巻の段階では賞、それも1位を取るような面白さは感じられなかった

 

 

石黒が描くだけあって世界観とか軽快な台詞回し等、純粋に漫画として完成されていて面白かった。が、少なくとも1巻の段階ではただただ物語の基礎を描いているようなモンで、確かに興味は引かれた僕だったが、それまでに受賞していた「デトロイトメタルシティ」のような爆発的面白さはなかった、と思う。まぁギャグマンガと比べるのは筋違いだけど、それほど賞の受賞には納得いかなかった。批判的読者の言う通りに面白くなかったらアイキャッチ画像は

コレになっていた。

 

 

が、それが2巻。徐々に不穏な空気を纏うようになっていく。伏線が回収されていったわけではないが、疑問視できる部分が明確になってきた感じがあった。モヤモヤが晴れたとかではないが、「外の世界」と「天国」が関係しているのではないか…?と感じられるようになってきたのは漫画を読み続けようと決心するきっかけになった。一通りキャラ紹介を終えて、物語がグッと動き出す感じがした。

 

 

僕個人としては、「天国」で少年が描いていた“空想上の生物”が「外の世界」で人を食う化け物として出現していることが分かってから一段と物語に引き込まれた。

 

引用:天国大魔境②

 

 

(空白)

引用:天国大魔境①

 

 

さぁ、これからのストーリーはどうなるのか。作者が作者なだけあって、まったく予想がつかない!あぁ、こんなことなら石黒のSF作品なんて完結するまで買うんじゃなかった!続きが気になりすぎるぜ!

 

 

☟「このマンガがすごい!」2007年オトコ編1位「デトロイトメタルシティ」

 

 

ゲ、ゲームがあるだと…?!

まだ4巻しか出てないのにゲームだと…?と思ったが、どうやら「RPGアツマール」ってところで天国大魔境のゲームが遊べるようだ。リンクは下からどうぞ。

 

 

 

僕もやってみたけど、面白かったぞ。FOODゲージが0になると歩くたびにダメージを受けるのは笑った。

 

ちなみに僕のクリア記録は42分だ(キル光線をチンピラ相手に乱れ撃ちしたせいで肝心の人食いが殺せなかったがな!)。腕に自信がある人は是非 記録を塗り替えてくれ。

 

 

※アフタヌーン編集部の監修を受けてるゲームだが、RPGゲーム用にストーリーは大幅に改編されている。そこは勘違いしないように。

 

 

 

 

これからに期待だ、天国大魔境

引用:天国大魔境①

 

おそらくそれ町から入って、木曜日のフルットで「はぇ~、この人の漫画 面白いなぁ」と魅了され、なんとなく天国大魔境を購入した読者は驚いたことだろう。まさか僕も石黒作品の作中で人が切断死体になるとは微塵も想像できなかった。女性のヌードを毛つきで描くとは夢にも思わなかった。

 

 

それ町やネムルバカ、木曜日のフルット等 これまでの完成度が高い日常系作品のイメージを払拭するようなSF漫画だと思う。以前のような完成度の高い日常作品を期待していた層からは厳しい意見が飛んでいるようだけど、僕は偏見なしに続きが気になる、良いSFだと感じた。

 

 

やや風呂敷が巨大な気がするが、石黒正数だから。。それでも石黒正数ならなんとかしてくれる、はずだ。彼のことだから、どんなに行き詰っても突如始まるトーナメントバトルとか、歩鳥の夢オチとかはないだろう。ないよな…?

 

 

 

次巻が楽しみだぜ天国大魔境。

 

 

 

 

あ、多少のネタバレは含むけど、1巻のレビュー記事も書いたので、良かったらそちらも参照してくれ。

 

 

それでは

 

 

 

 

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