このマンガがスゴイ(2022)
で大賞を受賞したこともあり各方面で一気に注目を浴びている『ダーウィン事変』。SNSで最近よく見かける「完全菜食主義(ヴィーガン)」についても華麗に描写されており、読者からは
と概ね大好評。流石、このマンガがスゴイ(2022年)の大賞作。モンドセレクション以上の信頼度。マンガというよりはネトフリの作品見てる気分がするぜ。一見 無理ありそうな設定だけど、寄生獣のように納得させられる世界観。理路整然とした構成・台詞が読んでいて気持ち良い。Everything Everythingを彷彿させる心地よさ。
というワケで、今回はダーウィン事変について。
あらすじや見どころ、個人的にグッと来た名言などを紹介していくぞ。
と言う方は、申し訳ないがブラウザバック推奨。すまん。根幹にかかわるネタバレは無論 避けるけど、要所にネタバレ含む画バレがある。そこは注意してね。
もくじ
ざっくりと!
ダーウィン事変
人間とそれ以外による世界大革命
私の友達は、半分ヒトで、半分チンパンジー。
テロ組織「動物解放同盟(ALA)」が生物科学研究所を襲撃した際、妊娠しているメスのチンパンジーが保護された。
彼女から生まれたのは、半分ヒトで半分チンパンジーの「ヒューマンジー」チャーリーだった。
チャーリーは人間の両親のもとで15年育てられ、高校に入学することに。
そこでチャーリーは、頭脳明晰だが「陰キャ」と揶揄されるルーシーと出会う
ダーウィン事変 あらすじ
主人公のチャーリーは人間とチンパンジーの間に生まれたミックス。
地球上で唯一の「ヒューマンジー」として生まれたチャーリー。人工的に生み出され、交雑種の宿命として子孫を残すこともできず、人権すらも認められません。
…
物語は彼を中心に回ります。
超人的な身体能力・頭脳のチャーリー
交配種は両親の系統のどちらよりも優れた性質をもつことがあるようで(雑種強勢・ヘテローシス)、チンパンジー以上の運動能力、人間以上の知能。とんでもなく理知的かつ超人的な身体能力を持っているチャーリーです。
冷淡にも思えてしまうような合理性も持ち合わせており周囲から浮きまくり。Twitterで話題になったのが以下のやりとり。
…
…
…
…
冷静なのか冷酷なのかは定かではありませんが、あきらかに異端な存在。チンパンジーの群れには勿論、人間の社会にさえも居場所が見つからない、と断定されてしまうようなチャーリーです。言葉は通じるのに、心が全く読めないのが初期ミギーを連想させられます。
過激派の動物保護団体
動物保護団体の過激派「動物解放同盟(ALA)」。
非道な動物実験を許さない、という理念から動物実験施設を襲撃。世間には知られていなかった「チャーリー」の存在を明らかにしたALAです。
自分達の理念を押し通すのに躊躇はなく、
……
ほぼ無差別にテロ行為を繰り返します。
菜食主義者以外を「肉食者(ミートイーター)」と蔑視。小さな子供が被害にあっても、それに悲哀を持てば逆賊。
極端な考え方ですが、ゆくゆくは動物だけではなく人類にも恩恵がある、という信念をもって活動しているALA。
執拗にチャーリーを付きまとうのにも理由があり…?
1話無料で読める!
気になったらぜひ、読んでみてね。
以下のサイトでダーウィン事変の1話(期間によっては1巻!)が無料で読めるぞ。
ダーウィン事変
名シーン・名言
マンガ大賞、アフタヌーン作品強すぎるだろ。
見えない力でも働いてんのか?
と、ぶっちゃけ期待してなかったダーウィン事変。
前情報で「ヴィーガンについてよく分かる!」という謎のレビューを見てしまい、オーガニックでナチュラルでロハス、ワクチン解毒で5G!アージングでマグネシウムがAre you Serious?!おまいが~~!^^的なマンガかと思いきや全然違った。頭にアルミホイル巻く必要なかった。
マンガ大賞をとったのは伊達ではない。
意識高い系のマンガでしょ?
ポリコレ臭がスゴイ
と切り捨てるには勿体なさすぎる。
少しでも見どころ・魅力が伝わるように、個人的な「ダーウィン事変」の名シーンを紹介しておくので参考までに。
生きるとは変わることだ
あんたが見てるのは「べき」だ
現実の「である」が見えてない
それを受け入れられないという点じゃ
あんたも夢想家もテロリストも大差ない
…違うかね?
まったく違いますね。
私はテロを起こすほど
人間に絶望していません。
なにより現実は決して不変じゃない
現時点での世界の現実がずっと続くという考えこそ夢想なんですよ
生きるとは変わることだ
変わらなければーー
不安って…
不安って…
未来に起こりそうなことをいま心配してるんだよね
そのときになってから心配すれば?
いまは何も起きてないし
世界に対しての責任
人間の言語って、汎用性が高いソフトウェアだと思うけど
もしほかの“種”が突然英語をしゃべれるようになったとしても
コミュニケーションなんてほとんど成立しないかもね
…
僕は この世界に対して全然なんの責任も感じない
だって勝手に放り込まれただけだから
総括:ダーウィン事変
以上、ダーウィン事変の読評でした。
ぶっちゃけ考えるのが面倒な人は読まなくて良いでしょう。筆者の知人に回し読みさせてみても、半数は「なんか説教くさくてヤダ」「文字が多くてよく分からない」「読んでも仕方ない」といった感じ。人を選ぶ作品のダーウィン事変。
しかし、ヴィーガンに対して(よく知らないけど)否定的だったり、考える暇のある方は是非 後学のためにも超おすすめ。
私もヴィーガンになるべきだと思ってる?
という大多数の日本人的疑問にもアンサーが設けられており、考えさせられます。
まだ5巻しか出てないので名作とは言い切れないが、
- 人生の後学として
楽しめる作品のダーウィン事変。
視線を遠くに這わせ、問題の底辺の在処を探ることの一助になると思うので、考える余白のある方は是非 読んでみてね。
それでは!
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『チー地球の自転についてー』
画力なんて気にならない
くらい面白いマンガです。ダーウィン事変が好きならば『チ。-地球の運動ついて-』もきっとハマるでしょう。決してわかりやすいマンガではありませんが、主題は『好奇心』と『探求心』。時代や宗教が入り混じり、血で血を洗うようなドロドロとした先にある『知的探求心』をめぐるマンガです。
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『天国大魔境』
加速度的に面白くなった
のが天国大魔境。ダークな感じは漂いつつも、あっさりと面白いセリフ回し、ゴテゴテ萌え散らかさなくとも魅力的なキャラは健在。正直、1枚絵でズバッと迫力あるシーンを得意とする作者ではないと思っていましたが、戦闘シーンも素晴らしい出来栄えで読み応えがあります。
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