皆さんは屋外と屋内の仕事はどちらが好きでしょうか。
また、気温が35度で太陽を遮る雲ひとつないない炎天下の中、蜃気楼浮き立つビニールテープで覆われたグラウンド上の仕事ってどう思われますか。やりたいですか?
愚問ですよね。私だってやりたくありませんが春先に皆さんがイチゴを頬張る姿を楽しみにしながら汗水たらしてそのような作業をやっております。ウソです。お金とそのような農作業で得られる特殊なビザ(セカンドワーキングホリデービザという)目当てで愚痴をこぼすことをかかさず作業をしております。グダイマイト。井家です。
オーストラリアのファーム仕事(農業関係の仕事)といったらストロベリー。
今回はそんなストロベリーファーム関係の仕事で、「プランティング」という仕事についてまとめてみます。あっ、最難関っていうのは私の個人的感想ですのであしからず
もくじ
プランティングとは
プランティングである。
ストロベリーの苗を畑に植えていく作業のことを言う。腰粉砕作業という別名もある。作業者の大半は一週間も経たないうちに腰に違和感を感じ始める。その後はサロンパスやアクテージAN錠など第三類医療薬品などを使うことによって痛みをだましながら作業に取り組んでいくこととなる。
季節柄、脱水症状や熱中症で頭から畑に埋まる人がいるので、作業をする人はこまめな水分補給と休憩、早寝早起きや朝食はしっかりととる等の様々な観点からの健康管理が必須である。とらないと死ぬからなマジで
稼ぎも少ないことからワーホリにきたヨーロピアンがやりたくない仕事ランキングでも上位に入っている(オレ調べ)。
作業内容
作業内容は至って簡単だ。
まず、ストロベリーの苗がどのように運搬されてくるのかをご存じのない方が多数だと思う。ファームにもよるが大体はこのような感じの箱に入って運搬されてくる。
箱にはナーサリーと書いてあった。ナーサリージョブはこのような感じで次のファーム仕事とつながっているんだなぁ……と感慨深いかった。
ちなみに今回 私が働かせていただいているストロベリーファームではひと箱に500苗ほど入っているそうだ。
そして、箱から束で苗を取り出し、苗を一房(畑によっては二房で今回 紹介させていただくのは二房のタイプです)掴んで植え込む苗床に落としていく。
※なお、この際に天気が悪く太陽が出ていないときは写真のように、たくさんの苗を苗床に落とせるが、太陽が出ているときにこの作業をしてしまうと苗の根から水分が失われて苗が弱ってしまうので、大半は”落とす苗は3本まで”といった感じで指摘が入る。
つぎに苗床の確認だ。
こちらはコンディションの良くない苗床。
どこが悪いって、苗床が陥没してしまっているのだ。このまま苗を植えてしまうと雨天時や灌漑時に苗床が水で浸透してしまい苗が育たなくなってしまう。そのためこのような苗床を見つけたときは、支給されたスコップ的なアレを使って
このようにビニールとほぼ同じ高さに苗床の高さを合わせる。
そして次はスコップ的なアレを使って苗を植えるための穴を作る。まぁ穴といってもスコップ的なアレを一刺しするだけのことである。
するとこのように苗床に切れ目が入る。深さは大体12㎝ほど。
苗の根のできるだけ下のほうをツールの先端で押さえ、そのまま最深部まで押し込む。この際、一刺しで押し込まないとツールに抵抗がかかり、大幅に時間をロスしてしまうので注意。
そして最後に気を付けなければいけないのが、押し込んだら終わりではないことだ。この辺もファームによるのかもしれないが、私の働いたファームでは写真のように押し込んだあとにも苗を周囲の土で覆うことか必要だった。
作業スタイル
ちなみに作業姿勢は下記の2パターンが現在 観測されている。
オーソドックススタイル
こちらがプランティングのオーソドックスタイプの姿勢。どうだろうか読者のみなさん。こんなことを毎日 炎天下の下で7時間もやった日にゃ心どころか腰も折れることは容易に想像できることだろう。現に身長が2mあるドイツ人にはプランティングは困難を極め、やる気こそあるもののプランティングには不参加の現状だ。まぁそりゃきついわな。
稼ぎ度外視スタイル
こちらが稼ぎを度外視したタイプの姿勢。
御覧のように、オーソドックスタイプの姿勢に比べて格段に腰への負担がすくない。というかほぼない。
ファーム仕事を経験された方、もしくはしようと思っていた方で日豪プレスやガムツリーを使って調べた人はご存知のことと思うが、基本的にプランティングというのは歩合制である。つまり、苗を植えたら植えただけの稼ぎが得られる。
そしてこの姿勢、オーソドックスタイプの姿勢に比べて作業効率が悪いので、スピードが出ないのだ。歩合制の場合はまったく稼げない。
モデルになった台湾人のケシー君。ありがとうございました。お姉ちゃんの結婚おめでとう。
プランティングで稼いでるやつなんているの?
基本的にファームジョブをやることになったら片っ端からネットで情報を集めて、時給制か歩合制か、レートはいくらが相場なのかを調べて、レートの良いファームがあれば迷わずそちらに行くような私なので、今回も当然 レートについて調べた。
すると、多かったのが
1000苗………35~40ドル
というレートだ。
このレートで稼げてる人なんているのか……?と戦慄した
というのも、私はこのようにやることが単純な作業のときは仕事を極力 数字化(単純に一時間に何個のマンゴーが切れたか、などの終わりのないような作業を数字で表して気を紛らわらすためにとにかく数字で表すこと)をしてどうにかして面白きことのなき仕事をおもしろくしており、1週間、一日当たりのプランティング量とそれに費やした時間の平均をとると
1日当たり7時間で870苗
という驚愕の値が出てきた。
仮にレートを1000苗で40ドルとしたところで一日当たりの給料は32.8ドルである。これは現在の日本円で2668円に値する。時給は4.7ドル(381円)。辛うじてレント割れがしないような金額(食費でオーバー不可避)。
広告には「週1000ドルも可!!!」と語気が荒かったけど本当に可能なのだろうか?
そもそもプランティングで稼げる人ってどういう人なのだろうか。腰の痛みはどう対処しているのだろうか。そもそも自家用のプランティングマシーンでも使っているのだろうか。
一度プランティングで稼いでる人に会ってみたいよ私は。
まじで体には気を付けて
個人的に注意をしていただきたいのは、身体。もう体だけ注意した方がよい。ほんっとうに腰にクる。私の場合、いまだに体がこの仕事に順応することはなく、帰りの車で尻がつったり、用を足してるときに腿がつったりしてそれはもう日常生活に支障をきたすレベルで体がヤバい。上手に付き合っていく自信が本当になくなってる。
おススメはしない
腰を壊すのでお勧めできない。というかできない。だって腰をすごい壊すからな。
しかし、みんながみんなこの仕事を辞めてしまったら誰がストロベリーの苗をせっかく整備された畑に植えるのだろう。
誰がナーサリーで一房一房丁寧に育てられた苗を蜃気楼の舞うビニールテープで覆われた畑に植えるのだろう。
君だよ。君しかいないよ。甘えたこと言っちゃいけないよ。君がスヤスヤとニトリで買ったベッドで寝てる間にも夜勤の人は働いているんだよ。世界は誰かの仕事で出来てるんだよ。私の代わりにやってくれよ。腰が言うこと聞かないんだマジで。
ちなみに不幸中の幸いにも私の働いているファームは完全時給制だ。
そのため私はいつでも稼ぎ度外視タイプの姿勢で作業している。そのためオードソックスタイプで作業に取り掛かっていれば多少は稼ぎは変わったことだろうが、一週間も経たずに腰は限界をむかえ、よくて寝たきりなのだから私の場合は稼げないことには変わりはない。
みなさんの周りで「プランティングは稼げるよ!」なんていうヤツはファームのオーナーと繋がった悪質なコンストラクターか嘘つきか自家用プランティング機を持っている奴なので簡単に信用しないように気を付けてほしい。
番外編 ぼくのファームのプランティング
番外編として、オーストラリアクイーンズランド州のファームで一番 労働環境が良いとされるSchiffkeというストロベリーファームで行われているプランティング作業についてまとめようと思う。
Schiffkeのストロベリーファームにも最初に紹介したような従来の畑もあるのだが、3分の2は今回 紹介させていただくような少し特殊な畑である。そこで行われているプランティングは一般的なプランティング作業とは若干の差異がある。
それでは、さっそくSchiffkeファームにおけるプランティングのやり方を説明させていただこう。
Schiffkeファームプランティングジョブ
Schiffkeファームとは
まずはこちらの写真をご覧いただきたい。
これがSchiffkeファームの大きな特徴をよく表す写真になる。
苗床が浮いてるのである(デデドン)!!!
天空の苗床である(意味不明)!
……イチゴ関係の仕事をされたことのない方やそもそも興味の無い人は既にブラウザのバックボタンを押して帰ってしまったことだろう。まだこのページを見ているということはファームを探しているか、将来的にイチゴ関係の仕事に就きたい人だと仮定して話を進めさせていただこう。
まずそもそも
ストロベリーファームで仕事をする = 腰を悪くする
というのはファーム仕事をした人なら誰しもが知っていることだろうが、ここSchiffkeファームにおいてはその方程式は意味を持たない。なぜなら腰を曲げて行う作業がそもそも少ないし、すべての作業が時給制なので焦って仕事をする必要がないからである。
クイーンズランド州最高のファーム、それがSchiffkeストロベリーファームである。
作業手順
苗床はこのような感じ。中の肥料がおいしそう。
1シーズンごとに苗床は交換しているらしいので土の中からミミズや蟻の大群、カエルや小さいゴキブリなどが出てくることもない。安心安心。
まず、指を使って苗を埋めるための「くぼみ」を作る。
くぼみの深さは約4㎝ほど。ちなみに使う指についてはもちろん指定されていないので違和感を感じる前にローテーションさせよう。さもなくば作業終わりに親指が曲がらなくなった台湾人のロニーのようになってしまうことだろう。
つぎにプランティング用の苗はこのような形で運ばれてくる。
ひとつのトレイに90本の苗が入っている。
苗の根っこに近い部分を掴む。
このように根っこごと引き抜く。
写真はプランティングに適した理想的な苗。稀に成長が遅く、根がとても小さいものがあるが、その場合はスーパーバイザーの指示によって破棄することになっていた。苗床に植えることが出来るのは上の写真のように苗の根がケースの形になっているものだけであった。
そして最初に掘っておいたくぼみに苗を入れる。
この時注意しなければいけないのが、最初にくぼみを深く作ってしまうと苗が沈んでしまい、スーパーバイザーいわく「苗の成長が遅くなってしまう」らしいので、多少 浅く掘って苗を埋めるときに押し込むようにすると作業が効率よく進んだ。
最後にくぼみを作るときに掘りだした周辺の土で苗の根元周囲を覆って作業は終了である。
「これはそんなに重要なポイントじゃない」と根拠もなく言っていたジュンは後々スーパーバイザーに注意を受け、ジュンがやった全列再チェックさせられていたので気を付ける必要がある。まじで何を根拠に言ってたんだジュン。
ちなみに苗床の色は赤茶色で苗の根周囲の土の色は黒色なので案外すぐにバレる。
超おススメ
以上がこの名誉あるストロベリーファームSchiffkeで行われているイチゴのプランティング作業である。
シェアメイトの台湾人のチャーリーに聞いてみたところ、Schiffkeのような天空に浮いてる苗床を所有しているストロベリーファームは作業環境が整っていることは言わずもがな、働いている人も温厚で怒りのFワード(F〇ckです〇uck)を飛ばす人もいないので総じて優良ファームということを言っていた。どうでもいいけど台湾人の知り合い多いな私。
Schiffke周囲のファームでも何か所かそのような苗床を使っているストロベリーファームがあったので、気が向いたらまとめてみようと思う。
記事執筆にご協力ありがとうトニー。
ちなみにSchiffkeで「シフキー」と読みます。
近くに住んでいる人でファームを探している人がいたら、超おススメなので是非 アプライしてみてくださいませ。それでは今日はこのへんで。