
マイナーマンガの頂点レベル
に属するのが今回紹介する「グッドナイトワールド」という漫画である。異端であり名作。僕はこのマンガにのめりこみすぎて大学受験をトチっている。許さんぞぉ、岡部ぇ…
さて問題。
そんなマイナー漫画でありながらも名作と言われるグッドナイトワールドは何巻で終わるでしょうか?

名作って言われるくらいだから、15巻くらい?
のんのんのん。全5巻です。あんなに面白かったのに、超コンパクト。後述するが、「仮想空間」という大舞台・設定にもかかわらず、とても綺麗に着地した。あまりにも綺麗すぎたので名残惜しかったくらいだ。
いつものように音楽で例えると、
東京事変の「電波通信」あたり。
スタイリッシュでクール。だらだらとせずに、すぐに次の展開に行くスピード感。脳内が占拠(ジャック)されるくらい物語に入り浸れるのが「グッドナイトワールド」の凄さ。
今回はそんな、物語の骨子だけを簡潔に描き、全52話という短さながらも圧倒的面白さで終わった「グッドナイトワールド」について紹介していくよ。
!追記!
2023年、アニメ化するぞ!
良いマンガだとは思ってたが、アニメ化するとは思わなかった。すごいぞ岡部!夜人も隔週で描け!
もくじ
あらすじザックリと!
グッドナイトワールド

ではまず、あらすじの紹介から。
仮想空間「プラネット」
物語の舞台はネットゲーム「プラネット」。
VR(体感型バーチャル・リアリティ)ゲーム「プラネット」において最強と呼ばれる4人組がいた。4人組の名前は“赤羽一家”。他のプレイヤー達から廃人集団と揶揄される彼らはネットゲーム上の疑似家族。

で、お互いの素性は知らないんだけど、彼らの正体は現実世界で崩壊した本物の家族。

(空白)

ある一件で親父と確執が生まれてめちゃくちゃ引きこもり、現実世界を捨てた長男

優等生の次男

我が子から尊敬されない、とんでもなくクセの強い父親

家族の元を離れてフラフラしている母親
物語は赤羽一家を中心として回る。ひとつのテーマが「崩壊した家族」だと思う。
エンドコンテンツ「黒い鳥プラネット」
そしてエンドコンテンツ(最終標的)の「黒い鳥」というゲーム内に現れる敵モンスター。

赤羽一家を中心としてネットゲーム『プラネット』の中で繰り広げられるモンスターとのバトル
なんて紹介されているが、グッドナイトワールドではモンスターとのバトルはおまけ程度にしか描かれていない。
ではなぜ、黒い鳥がひとつのテーマになっているのかというと、運営会社が「黒い鳥」の捕獲・討伐に懸賞金をかけたからで、

その額なんと3億円。
ゲーム内の仮想通過ではなく、現!金!の3億円ということで物語は現実世界を、そして現実の家族を巻き込んで大きく動き出す―
というのがグッドナイトワールドの大まかなあらすじ。
テンポよく話が進み、ホラー、シュールギャグ、シリアスの均衡が取れた良作である。
正直なところ、絵は…
絵は正直70点、といったところだ。
知り合いに読ませたら、

絵がなんかペラいな
と言われた。まぁ同意しないが否定もできなかった。
いや前作「世界鬼」に比べると超上手くなっている。決して下手ではないしキャラの描き分け、喜怒哀楽もしっかり描けている。しかし、何の予備知識がない読者がチラッ1巻を読んでも「お、いいじゃん」となるような絵ではないと思う。いやホントに上手くなってるんだけどな岡部閏の絵は。

背景とか滅茶苦茶綺麗に書けるようになってるし、何といっても表情の描き方とかは目を見張るものがある。月並みな言い方になってしまうが、失望・絶望したキャラの表情とか本当に凄い。狂気さえ感じる。キャラ絵は薄い方なのに人間味をしっかり感じるのは凄いコトだぞ。
岡部にしか描けないんじゃないか?と思える表情を描くんだよ。
今回のグッドナイトワールドの方でも要所要所でとんでもない表情を浮かべるキャラがいた。画像を上げてしまうと即ネタバレになるので控えるけど、凄まじかった。

表情のほかにも急なホラー展開とか、あらゆるところが上達してたと思う。黒い鳥の意味不明な怖さとか圧巻だった。ゾッとするデザインセンスも脱帽。70点とか言ってごめん岡部、記事書いてて「甚だ上からな意見だな」って自分でも思うけど、本当にグッドナイトワールドは良かったよ。予想のつかない展開の連続で読む手は止まらなかったよ。
5巻以内で終わる名作No.1
10巻以内で終わる名作
と呼ばれる漫画がある。長々と続かずに10巻以内でサラっと終わるので手早く読めて、なおかつ素晴らしい内容・終わり方をする漫画の総称だ。
僕はグッドナイトワールドは間違いなく入っていると思う。5巻以内で終わる名作部門があるならNo.1として紹介しても良いレベル。そうグッドナイトワールド、惜しまれつつも5巻を以て終了してしまったのだ。
コミックスの売れ行きが悪かったと聞いたことがある。にわかには信じられなかったので「ウソ乙。これだから裏サン読者は…」と相手にしていなかったのだが、実際、回収されずに残った伏線(ごく少数だが)もある。審議は定かではないが、その点を鑑みると「打ち切り」だったという可能性も否めないのだ。
売り上げが伸びなかったことを読者のせいにして「ファストフードみたいな漫画読んでるヤツには分からないんだよチキショウが!」なんて批判するつもりはないが、なんとも残念だったのを覚えてる。
それでも感動のラスト

「大好きな漫画が予想より早く終わってしまって残念です。」なんて小並感が溢れることが言いたいのではなく、それでもキチンと読者を納得&感涙させるラストを描いたのが素晴らしいってことを最後に言いたい。
マンガを描いたことも、ましてや連載したこともない紛れもないパンピーな僕の想像で申し訳ないのだが、「あなたのマンガ打ち切りです。あと5話くらいでなんとかしてください」的なことを言われたとして、あなたはどうするだろうか?「よ~し、最後まで頑張るぞ」ってなれますか?僕はならない。なれない。「オレたちの戦いは、これからも続く!」的なラストで適当に締めるさ。せっかく活き活きとしてきたキャラ達、練りに練った構想を描きあげることができなくなったなんて辛すぎるだろ。
総括:グッドナイトワールド
感想とレビュー
とんでもなく素晴らしい終わり方
をしたんだグッドナイトワールドは。これ以上はなかったと思う。ネタバレを避けるために曖昧に書くが、最終話直前の51話を読むとマジで今でもホロリと涙が出てくるんだよ。
- 滅茶苦茶に嫌っていても切れなかった家族の何か
とか、
- 夢から覚めてしまったときのような虚無感
とか、色々と凄い回だったんだ51話は。
この際、打ち切りになったかどうかはどうでも良い。
そう感じるようなラスト。続編があるのではないかと思わせるような不穏な部分、サラっとした読み心地で爽やかにも感じられるラスト。千と千尋の神隠しを見終わったときのような神妙な気持ちにすらなる。
だからこそ僕は、このグッドナイトワールドが5巻以内に終わった漫画No.1として紹介できる。皆さんも是非。隠れた名作・知る人ぞ知る名作って多分、こういう漫画のことだぞ。
こちらも5巻以内で面白い!
- 【素直になぁれ…!】《無頼伝 涯》は打ち切りだけど面白い
- 【異様な熱量】『ひゃくえむ。』は紙版単行本がプレミア価格で転売されるくらい面白い
- 【32歳になる前に読め!】『わにとかげきす(マンガ)』が気持ち悪くて最高に面白い
!追記!
続編が出た!
正直、連載再開を心待ちにしてた「夜人」を放っておいて新作出されたときは「え、えぇ…」と困惑しかなかったが、1話読んで考えを改められた。今はもう、こっちの方が気になる。夜人?夜人は隔月で描いてくれればいいよ!