【異様な熱量】『ひゃくえむ。』は紙版単行本がプレミア価格で転売されるくらい面白い

読んでいて『あれ、これ自分のために書かれたんじゃ…?』と意味不明な錯覚に陥るのが良い作品だと思って漫画を読んでる。別に漫画じゃなくとも傑作・名作なんて呼ばれる作品は直接的な表現がなくてもヒシヒシと作者のメッセージ性が伝わってきやがる。あ、どうも最近はPUIPUI モルカー見て号泣したりしてます、井家と申します。

 

 

今回 紹介するのは『ひゃくえむ。』というマンガだ。凄まじいぞ。作品が語りかけてくる、とかそんな柔な感じじゃない。出会い頭にいきなり胸倉をつかまれたような強い衝撃。絵は正直 全くタイプじゃないのに、読み手が止まらなくて困った。徹夜して読み耽って翌朝 バイトに大遅刻して温厚なパートのおばちゃんを鬼ギレさせてしまって反省したが、後悔はなかった。

 

 

 

『友情・努力・勝利』というマンガもよろしゅうございますが、僕が今 見たいのはソレじゃない。眩しすぎて直視できねぇ。先行きの見えない生活に不安と葛藤を抱える僕が見たいのは『孤独・挫折・謎の希望』くらいの塩梅の漫画で十分なんです。読んだ後、謎の爽快感と熱が残る『ひゃくえむ。』のようなマンガを待ってたんです。

 

 

正直 どういう人にオススメな漫画か分からないが、とにかく僕が、あなたに読んでほしい漫画である。どういう経緯でこの記事に来たのか分からないが、これも何かの縁。5巻以内に終わるし、既に『知る人ぞ知る漫画』として名を馳せてる間違いなしの漫画だから。とりあえず、読んでみてほしい。

 

 

 

 

 

その距離に、すべてを懸けた
『ひゃくえむ。』概要

生まれつき、足が速かった。

他には何も持っていなかったが、速く走ることだけでよかった。それは「学校での居場所」を生み、「友達をつなぐ橋」となった。それだけが、少年の全てだった。

そんな彼が出会ったのは、辛いことを忘れるために走っている少年。彼は決して速くはないが、熱を持っていた。その熱に当てられて、次第に興奮を知っていく。しかし、それは「異常」の始まりだった。「100m」は全てを狂わせるのだ――。

引用:マガポケ

という概要の通り、『ひゃくえむ。』は陸上(短距離100m)のマンガである。

 

しかし、競技としてのアレコレに重点を置いているのではなく、あくまで人間がベース。松本大洋の傑作『ピンポン』のように、100mという競技に関わるキャラクターたちの苦悩や情熱、劣等や挫折等を端的に描写しているところが特徴的。

 

 

それでは、例によってチョロッと概要を紹介していくぞ。

 

 

『ひゃくえむ。』概要

主人公のトガシは普通の小学6年生。

 

ただ一つ変わっていることは、

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

走るのが早いということ。

 

 

生まれつき足が速く、100mでは無敵。

特に走るのが好きなわけでもないが、全国でも1位に入賞するほどに圧倒的に足が速かった。それ以外はいたって普通のトガシだが、

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

「それだけでいいのだ」

と、足が速いだけで全てが上手くいくと考えている節があった。

 

そして、そんな考えの通り万事良好。

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

非凡な才能を持ちながらも、どこか冷めているような主人公のトガシだったが、

 

 

 

 

ある日 一風変わった転校生と出会う。

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

人見知りで不器用、転校した当日にはクラスメートからイジメられてしまうような小宮くんだった。

 

 

学校ではまったく接点のない2人だったが、ひょんなことから放課後にばったり遭遇。

 

酸欠に死にそうなくらいになるまで走った結果、倒れてしまった小宮くんを目の当たりにしてトガシ、

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

 

 

 

 

度肝を抜かれたようなトガシだったが、咄嗟に出たのは違う言葉

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

……

 

 

あまりにも突飛なトガシの言葉に小宮くんは理解が付けていけない模様。

 

なんでそう言い切れるの?

 

という小宮くんに

 

オレがそうだから

 

とトガシ。

 

 

 

 

その日以降、放課後にトガシは小宮くんに走り方のアドバイスをするようになる。

 

 

順調に早くなっていく小宮くんだったが、学校では相変わらずイジメられているようだった。トガシは純粋に、小宮くんが早くなっていることを口にしようとすると

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

と、同調圧力。

普通の小学生だったトガシは、周囲の無言の圧力に逆らうことはせず、小宮くんとは学校で話すことはなかった。

 

 

しかし、放課後は今まで同様に走りのアドバイスをするトガシ。小宮くんも次第に技術が身につき、特に勝つ意味もない運動会でも『勝ちたい』と思うようになった様子だった。

 

 

そして運動会当日。

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

これまで練習してきたボロボロの靴と共にスタートラインに立った小宮くん。

 

 

最高のスタートダッシュを見せるも、後ろからイジメっ子のヤジに気を取られて転倒してしまう。

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

そしてトガシ。

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

 

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第1話

 

 

そして、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことなかれ主義にも見えたトガシが、友達をぶん殴るって怒鳴るような『』を思い出し…

 

 

 

というのが1話の概要。

下記のサイトで1話 無料で読めるので是非。

 

 

 

 

 

 

お世辞にも上手いと言えない絵を超越した
『ひゃくえむ。』の魅力

何がどう面白いかよく分からないまま記事書いているのでアレだが、とにかく1話を読んだ時点で

『なんかよく分からないけど多分 面白いなコレ…』

という気持ちで一杯だった。具体的には小宮くんが『辛いことをしてると、現実がぼやける』ってところでヤバかった。こいつぁ次世代を担うような大物が現れたぜ…って僕の中のマンガ評論家ジジィが固唾を飲んでた。

 

 

陳腐な感想になっちゃうが、アツくて面白い。余談だけど、僕の今月の食費はアンダー1万円っていう極限だったんだけど、勢いで全巻(3660円) 購入しちゃうくらい読んだ人を勢いづける作品だ。全巻 5巻だけだったのでマジで命拾いした。明日からモヤシとバターと醤油とご飯で命を繋ぐけど、全然 後悔してねぇぜ。

 

 

何かよく分からないけど面白い

そのままにするのは何か気持ち悪いし、君にも絶対読んでほしいので、個人的にぶっ刺さった魅力・面白味をまとめていく。

 

 

含蓄に富むセリフ

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第3巻

 

なによりも素晴らしかったのは、上のような人生哲学めいたセリフだ。

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊) 第3巻

 

独特で創造的。人間味あふれるキャラクター達なので常に何かしら悩んでるんだけど、そんなときにヒョイと現れる強者やモブキャラの一言が刺さりまくる。正直、絵は結構ペラいのでサラサラ読んじゃいそうなんだけど、何度も立ち止まって考えさせられる金言のオンパレード。ちなみに僕が5巻を読むのに要した時間は3時間と44分でした。

 

 

作者の魚豊氏は『ひゃくえむ。』が連載終了した後のインタビューで

『つまらないな』『上手くいかないな』と感じる瞬間も大事にすべき一瞬、

『人生にはそういうときもあるさ』と感じてもらいたい。そんなことを考えながら、『ひゃくえむ』を描いてました。

引用:絶対なんてないから面白い『ひゃくえむ。』魚豊先生に聞く人生の醍醐味

と言っていた。

 

いくら努力しても記録が出ない焦燥も、無敗でいられなくなる恐怖も、色々ひっくるめて『人生』を味付けるスパイスなんだと気づかせられる奥深さがある。ひゃくえむは競技マンガでは断じてない。強いて言うなら雑多なキャラクターの織り成す群青劇だと思う。

 

 

逆境、成績不振、とにかく窮地に迷い込んでしまったような人は読んでみると良い。僕自身、先月からブログのアクセスが数万落ちて気持ちが死にかけている時だったので非常に励まされた。真剣にやることと楽しむこと、両立してこそ充実するもんだよな。

 

 

 

紙版が買えない…??

記事を書くにあたって下調べをするためにネットで検索してみると、サジェストに『買えない』という単語。はて…?と思いメルカリで調べてみたら

 

 

えぇ…なにこの高値…

 

どうやら紙版が絶版になったようで転売屋も跋扈。値下げ、とか言っといて定価の11倍で紙版は売ろうとしてるのが強欲でウケる。ちなみに僕が見た限りの最高値は5巻セットで20000円だった。表紙もシンプルでカッコ良いので本棚に置いときたい所存だったが流石にギブアップ。どこにも定価では売ってないし、買えない。

 

 

そもそもは書籍は出ない予定だった

なんで紙版が絶版になってんだよ!もうちょっと多めに刷っとけや!!

とも思ったが『ひゃくえむ。』、そもそも単行本は出ない予定だったそうだ。

 

 

紙の単行本はおろか、電子書籍すら出ないような決断を下された模様。まぁ陸上っていうジャンルもそうだし、絵も大衆ウケはしなさそうだったもんね…。いくらネットの民が『出たら買うわ!』って盛り上がっても信憑性ゼロだもんね…。

 

 

しかし、これを巡って

 

エログロ系の漫画は人気なくっても出版するのに何で『ひゃくえむ』は出ねーんだ編集コラ!!

 

『ひゃくえむ』以下の人気作品は出版されてるだろが無能出版社!

 

こんだけネットで人気なんだから単行本化は義務だろクソ雑魚ナメクジ出版!

 

 

と憤慨したファンの方々が掲載アプリの問合せフォームから直訴。で、相当数のファンが実際に動いたらしく、さらには担当者も尽力。そして、当初は絶対に覆らないと思われた出版社の決断だったが、、

 

 

と大逆転。

電子書籍、そして紙媒体での出版が決まったそうだ。

 

そんな出版までの激動のドラマもあった『ひゃくえむ。』の単行本。”本来なら余に出回ることのなかった幻の単行本”とか言われるくらいには経緯に付加価値がついたのか、初版の紙単行本にプレミアがついたってワケだ。

 

現在のところマジでどこでも買えない。定価で紙媒体なんで売ってない。が、継続的に売れるような漫画だから首を長くして待とう。その内 絶対に増刷するから。しなかったら筆者がスゴイ手術して鼻の穴 一個にしてやるから大人しく待て。我慢が出来ない人はメルカリとかで法外な値段で買うと良いだろう。

 

 

 

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総括『ひゃくえむ。』

何度も言うが絵はマジで素朴。

モブサイコと同じくらいで、僕の従妹に見せたら読まれることなく返却されるようなレベルだ。下手すると従妹のような中坊には読む前から『あ、これは自分向けじゃないな』って思われるだろう。絵で判断する層には響かないこと間違いナシな漫画だ。

 

 

が、皆さんご存知の通り、漫画は絵だけじゃない。

 

コマ割りとか構図とか詳しい話は分からんが、

  • 単行本は出さん!という出版社側の固い決断を覆させる
  • 買いそびれたファン達が『買えない…』『売ってない…』と嘆き彷徨う
  • 単行本(紙)はプレミア価格で転売される
  • 定価の3倍程度ならすぐ売れる

という実績を叩き出した異作であることは間違いない。いや異作もなにも、抜群に面白い。陳腐な感想になるが、マジで面白かった。想像の50倍以上面白かった。

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊)

 

……

 

 

 

引用:ひゃくえむ(著:魚豊)

 

この熱量と気魄。こんなもんね、そんじょそこらの漫画にゃまず見られない。素晴らしいキャラの心理描写と、それを際立てる圧倒的語彙力。その基本にある作者のメッセージ性。どれを足し引いても台無しになるような絶妙なバランスで構成された素晴らしい漫画だった。

 

 

爽快な読了感と、適度な脱力。

 

そして、確かな熱量を貰える良作だった。

 

 

 

時間がなければ作ってでも読んでほしい、そんな大作でした。

 

 

 

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それでは

 

 

 

 

魚豊氏の最新作も超おススメ!!!

 

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