【常識外れ!】『昆虫の惑星』のネタバレ含む書評・感想まとめ【虫たちは今日も地球を回す 】

えぇ…そうなの…??

という感心と驚嘆止まらなかったのが「昆虫の惑星」。この前 本屋に行ったとき「課題図書!」とクマちゃんの絵柄でポップに紹介されていたので、

小学生の読書感想文用の本かな?
夏っぽくていいなぁ…

と思い、ルンルンしながら読んでみたら

雄のハチにとって、交尾は生涯最後の仕事だ。射精の勢いで生殖器は裂け、腹から剥がれ落ちてしまう。文字通り”爆死“で、オスは交尾を終えるとその場で息絶える。その激しさに感銘を受けたのか、イギリスのタブロイド紙<ザ・サン>は「精巣爆裂!壮絶すぎる雄のハチのオーガズム」と題した自然科学の記事を掲載したことがある。

えぇ……と。

勘違いしてた。課題図書というのは、「青少年読書感想文全国コンクール」の主催者が指定する図書のことで、別に小学生のキッズを対象にしているワケではないとのこと。で、勘違いから読み始めた「昆虫の惑星」だが、最初から最後まで、とても面白く読むことができた。

 

というワケで、今回は「昆虫の惑星」について。

個体数や個の種類としても、地球上でもっとも繁栄している虫について大人でも楽しく学べる本作である。昆虫の型にはまらない個性や能力は、僕達『ヒト』も応用できる可能性があるものも少なくないので、

なんか最近、人間関係に疲れたなぁ…

とか、

どうも行き詰っている感覚があるんだよなぁ…

という人は是非 読んでもらいたい。

あ、記事本文では随所にネタバレや本文の引用もあるので、気になる方はここらでブラウザバックしてね。

 

 

 

昆虫の惑星
大まかな内容

虫が苦手という人は多いが、虫の世話になっていない人は地球に1人もいない。あなたの知らないところで黙々と仕事をしている昆虫たち―(もちろんちょっとしたコツでずっとぬくぬくしてるやつもいる)。そんな昆虫たちのめくるめく世界へようこそ!

ノルウェーの女性昆虫学者が語る、奇妙で風変わりな虫たちの話。

引用:紀伊国屋書店「昆虫の惑星」

まずは、そんな「昆虫の惑星」の概要を紹介していくぞ。

 

 

あらすじ・目次

  • 第1章 小さな体は高性能
    ―体の仕組みと機能
  • 第2章 昆虫たちの“婚活”事情
    ―生殖と繁殖
  • 第3章 食べて、食べられて
    ―昆虫と食物連鎖
  • 第4章 昆虫VS植物
    ―植物との共進化
  • 第5章 ヒトの食卓と昆虫
    ―蜂蜜から昆虫食まで
  • 第6章 自然界の“掃除人”
    ―死骸と糞の分解
  • 第7章 産業を支える昆虫たち
    ―ヒトによる昆虫利用
  • 第8章 昆虫が与えてくれるもの
    ―バイオミミクリー、医学、セラピー
  • 第9章 昆虫とヒトの未来
    ―環境と多様性を守るために

サブタイトル「虫たちは今日も地球を回す」にもある通り、本書は子供たちが憧れる昆虫から、大人たちが飛び上がって忌避するムカデやクモなど幅広い虫について紹介している。

 

本編は序章を含め、10章で構成されている。

前半は、昆虫の体の仕組みや、種としての多様性が紹介されている。とはいっても堅苦しい内容ではなく、どうやって周囲を知覚しているのか?という素朴な疑問についてのアンサーだったり、熾烈な競争を繰り広げている昆虫たちの個性的なセックスライフ、昆虫に関わる生き物の話が中心だ。

 

後半は、いよいよ僕達「ヒト」と昆虫の接点が詳しく、なにより面白く解説されている。気になった項目から読んでも全く差し支えないので、目次から飛んでみましょう。ちなみに僕は第2章「昆虫たちの“婚活事情”」から読み始めました。

 

 

短くて、とっても充実した内容

先述したように、基本的には気になった項目から読み進められる。

ひとつひとつの章が丁度良い長さの短編から構成されているのも「昆虫の惑星」のおすすめポイントだ。ひとつの昆虫を深掘りしすぎず、面白い個性を持った昆虫が次々と登場してくれる。さながら昆虫のビュッフェ。好きなところを、丁度良いだけ読める。

 

集中力が続かないし、まとまった時間も取れない…

という方でも手に取りやすい。見開き1ページで完結するくらいの簡潔さ、なおかつ科学・実験的に証明されているような興味深い内容で満ちているので、電車に揺られながら読むのもおすすめ。京浜東北線なら一駅区間内に2話くらい楽々読めるぞ。

 

 

昆虫の雑学だけじゃない!

はぇ~~なるほどぉ…

となる昆虫の知識がいくつも散りばめられているのは言わずもがな。小さな脳と体からは信じられないくらいに高い能力や、人間が想像だにしない独創的な能力・工夫について知ることで、現在の人間が抱える課題への解決策にも繋がる可能性があることが分かる。

 

雑学は知識として持っておくと、後々に思いがけない場面で役立ってくる。筆者のように学校でバイトしてたりすると子供相手のウケが抜群に良かったりもする。昆虫はオリジナリティ溢れるデザインも素晴らしいが、明確にヒトの暮らしに役立っているのだ。子供たちが昆虫を好きになれるように、本書を活用したい。

 

 

「昆虫の惑星」の著者

著者はアンヌ・スヴェルトルップ=ティーゲソン氏。

ノルウェー生命科学大学、保全生物学教授であり、ノルウェー自然科学研究所の科学顧問もつとめている。森林の生物多様性、昆虫の生態学について講演をこなしており、上の動画の通りTEDでも並外れた昆虫の能力、恩恵について語っている。

 

「昆虫の惑星」の訳者

訳者は小林 玲子さん。

とても素晴らしい和訳をしており、“依存と絶滅は紙一重”や“アリさん印の抗生物質”など、パラパラ本書をめくっていると「!?」と読み手が止まり、目を通したくなるような見出しを付けられていた。

 

北欧生まれの著者の素晴らしいレトリックが読者にストレスなく伝わるのは小林玲子さんの努力が大きいだろう。アリさん印の抗生物質には痺れた。

 

 

昆虫の惑星
面白かった部分

「昆虫の惑星」を読んでみて面白かったところや、感銘を受けた一節を備忘録として抜き出しておく。多くなり過ぎたので数を減らしたが、少しでも気になるフレーズがあれば是非、本編を読んでね。

 

 

善なる神に作られた、悪魔のような虫

ハチは卵を一つ産んでゴキブリの脚に固定する。それから小石で穴の入り口をふさぎ、自分は姿を消す。やがて孵化した幼虫は、ゴキブリの脚から退役を吸い、体内にもぐりこんで腸をむさぼり食い、一か月ほど栄養をつけながら過ごす。やがてゴキブリの体内でハチの幼虫が蛹になると、宿主のゴキブリはまもなく息絶える。

1800年代、当時の自然史学者や神学者が苦悩しただろうと予想されるのが寄生虫の生態。命にかかわる器官は最後まで残しておき、死肉ではなく新鮮な肉を貪り喰う「捕食寄生者」について興味深かった。人間としては

残酷すぎる…

と思ってしまうが、「進化」というのは愛と思いやりを広めるための現象ではないっぽい。

 

 

やけ酒を飲むハエ

「ショウジョウバエのアルコール依存処」はまじめな研究の一分野だ。

たとえば酔った雄のハエは、雌にまとわりついてしきりと交尾を迫るが、うまくいく確率は低い。求愛にしくじった雄は、首尾よくやってのけた仲間を横目にアルコールを摂取して傷心をまぎらわすともいわれている。どこかヒトに似ていて興味深い。

 

 

世界で最もうるさい虫

この水中に棲む昆虫の雄は、雌にふりむいてもらうため、競って“音楽”を奏でる。コショウの粒サイズのミズムシの雄は、音量を確保するため、自分の体全体を楽器にする。腹がバイオリンの弦、ペニスが弓という具合だ。

数年前、ある研究チームが水中にマイクを設置して、フランスに生息する雄のミズムシの“演奏”を録音した。その調査によれば、体調2ミリメートルのミズムシは平均して79デシベルの音を出していた。陸上でなら15メートルほど先を貨物列車が通過するときの音量だ。ペニスで演奏する小さな昆虫は、音の大きさという点でも常識はずれた。

 

 

イエバエの食事マナー

イエバエは単体でヒトに危害を加える生きものではないが、この“食事マナー(胃の中の消化液を吐きかけて食べ物を溶かし、口吻によって掃除機のように吸い上げる食べ方)”と、動物の糞をふくむバラエティ豊かな食生活が、感染症を拡げる一因となる。ハエがあちこちに口吻を刺して食べ歩く行為は、使用済みの注射器を使いまわすことにも似て、ヒトにも感染をもたらしてしまう。

ハエという不快な存在も、どこか人間味を感じる文章で親近感を覚えるが、やっぱり特異な存在であることを改めて思わされる絶品な文章。

 

 

規格外の能力

ヒトの目には1秒に20枚ほどの画像があれば連続した動きに見える。ところがトンボは、一秒に最大300枚の画像を認識し、正確に見分けることができる。

トンボには膨大な資格情報を受信しながら、その中の特定の一場面に集中する特殊な能力もある。重要な情報だけに集中する「選択的注意力」とでも呼ぶべきもので、ほかの昆虫にはない能力だ。

狩りの成功率が95%超という驚異的な能力を持つトンボ。精密かつ機敏な飛翔能力の高さに加え、それらを正確に操るための処理能力も持ち備えているそうだ。あんなに頭ちっちゃいのに、すごい。

 

 

人間の勝手な思い込み

長時間の交尾を終えた後も、雄は気を抜けない。ほっそりとしたアオイトトンボが二頭でハートマークをつくって飛んでいることがある。その姿からロマンスを連想するのはヒトの勝手な思い込みだ。アオイトトンボの雄は、交尾によって受精した卵を雌が水草の上に産み付けるまで、ほかの雄と交尾しないように見張っているのだ。

その他にも雌の受精嚢を占領するために体の20倍にもなる半端ない長さの精子をもつハエがいたり、交尾の後に雌の生殖器にしっかりと栓をして立ち去る雄がいたりと、第2章の『昆虫たちの“婚活”事情―生殖と繁殖』は色々と壮絶だった。

 

 

 

総括:昆虫の惑星
読書レビュー

虫嫌い・虫好きの人にオススメ!

な「昆虫の惑星」という本だった。

本作の前半には昆虫の生態について、後半では、いよいよ「ヒト」と「昆虫」の関わりについて詳細にまとめられていた。読む前に目次をパラりと見て、

前半は面白そうだけど、後半は説教くさそうだなぁ…

と思い、正直まったく心惹かれなかった。動物愛護やらジェンダーやら、色々なところで慎重になっている現代で、さらに昆虫にまで慎重になる必要があるのか…、と少々 気後れしていた部分がある。おそらく、僕と同じ思いの人も少なくないと思う。

 

しかし、本書のサブタイトルにもあるように、地球は昆虫の惑星でもある。この星で生きること、それは色々な動物の繋がり、連鎖、チームプレーといっても過言ではない。僕達「ヒト」と切っても切れない「虫」。多種多様な彼等について、この本以上に詳しく、面白く書いた本はないのかもしれない。

 

一見、無意味で無用にも思える虫が、僕達の生活を楽にしていることが分かる。

 

以上!

少しでも気になった方は読んでみてね!

 

 

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