義務教育で読ませるべき
と名高い『しょせん他人事ですからーとある弁護士の本音の仕事ー(以下:しょせん他人事ですから)』。バイト先の冷蔵庫に入ったり、そば屋を閉店させたりと2013年くらいはバイトテロが主流だったが、最近は一般人によるSNS炎上がトレンド。回転寿司チェーンでバカ大暴れ。
おもしろフラッシュで『千葉 滋賀 佐賀!』と盛り上がってたような人達ならば
個人情報なんて流失したら人生終わる
だろ…
未来永劫にオモチャにされるから顔出しはNG
と一定の理性ネットリテラシーは育まれているのがデフォでウェルカムトゥアンダーグラウンドだったが、誰でも気軽にSNSが使える現代である。ますます快適になっていく通信環境にキッズ・オッサン共が追い付けていないように感じる昨今である。
そんな現代にピッタリのマンガが『しょせん他人事ですから』。
- (デマによる)ネット炎上時の法的手続き
- 誹謗中傷に加担してしまった人の転落人生
などなど、これからのネット社会で被害者・加害者にならないための正しい知識・心構えを教えてくれる作品だ。
というワケで、今回は『しょせん他人事ですから』について。あらすじや見どころを少しだけ紹介させていただく。
広告がウザいほど連発されるからなぁ…
と読まないで避けている方は是非 少しだけでもいいからお付き合い頂きたい。フランス外人部隊転生よりは圧倒的に面白かったぞマジで。
※ネタバレを含みます!
1コマたりとも余計な情報は入れたくねぇ…
という方はブラウザバック。細心の注意を払って記事にしますがネタバレはネタバレ。余計な情報を入れたくない方は注意してね。
もくじ
ざっくりと!
しょせん他人事ですから
ネット炎上・SNSトラブルに遭ったことはありますか?
いわれのないガセネタで炎上して誹謗中傷の的になってしまったブロガー主婦が弁護士の無料相談所へ。出会った弁護士はネット案件に強いみたいだけど、だいぶ変わり者…?
誰もが今日にも被害者に、そして加害者になる、現代の闇!
他人事ではいられない誹謗中傷&情報開示請求のリアルドラマが幕開けです!
1話だけ読んでみる
以下のサイトで『しょせん他人事ですから』の1話(分割)が無料で読めたりする。
時間のある人はマジで一読してみてね。読んでいるうちにテンポがよくなってきてスワイプが止まらなくなるぞ。
概要
メインキャラクターは保田 理。
ネット案件に強いとされる弁護士ではあるが、
『もうちょい相手の話をちゃんと聞いた方が良いのでは?』
という部下 加賀美からの意見にも
『ムリ 時間の無駄だもん』
とキッパリ言えてしまうくらいにはドライな性格。
そんな本音すぎる対応が口コミ低評価に繋がり、なかなか仕事を得られない様子。
『個人情報を晒されてしまった』
と、無料相談会に来た女性に対してさえ、
…
というような感じ。
有能弁護士らしく、感情的にならずに悪質なネットユーザーを追い詰めていくストーリーである。
しょせん他人事ですから
おすすめポイント・見どころ
2021年に消費者センターに寄せられたSNSトラブルは5万件以上。割合としては20代が最も多かったそうだ。
子供が未熟なことは仕方がないことだとはいえ、この前の寿司ペロ舐めロー君のように損害賠償やら特定やらで社会的に死にかねない。すたみな太郎と回転寿司は食べ物で遊ぶところだと思っていそうな子供には予防接種として読ませておきたい『しょせん他人事ですから』である。
というワケで、『しょせん他人事ですから』の見どころについて簡単に紹介していく。BGMとして処刑用BGMとして名高いジョジョ5部の『il vento d'oro』を置いておくので良ければ。
ネット炎上のリアル
あからさまな悪役が少ない
というのも斬新で良かった『しょせん他人事ですから』。スカッと系のマンガだと思って読むと加害者側が普通すぎた。
噂話が趣味という"普通の主婦"であったり、
AV女優のリプ欄に常駐してるような"普通のオッサン"、
"調子に乗りがちな中坊"だったりと、どちらかと言えば普通。『自分が中坊のときにSNS流行ってなくて良かった…』と思わせられるくらいである。
どんな人でも加害者になり得る
顔が出ないから
皆が言っているから
と浅はかに考えてSNSで呟いた結果、人生が滅茶苦茶になってしまう様がエクセレント。Twitterやらでクソリプ飛ばしてるような方には是非 一読をおすすめしたい。
…
呟く側は独り言のつもりでも
ネット上はその先に本人がいるかもしれない
なのに、そのことに全然 思い至らない
…
だって、言論の自由があるから…
というヤツには問答無用で読ませたい。そういうのは他人を不快にさせない範囲で認められてるモンだぞ。
若者のネット教育としても優れている作品なので、未成年を持つ親御さん等にも是非 手に取っていただきたい『しょせん他人事ですから』ですぜ。
ちょっとしたリツイートが人生を終わらせる?
加害者の追い込まれっぷり
が見事に描かれていた『しょせん他人事ですから』。
開示請求書が届いた後の加害者のうろたえっぷり。
ネットに疎いおじさんが気軽にリツイートしたせいで炎上の渦中に投げ込まれてしまう様は背筋が凍るほどの出来栄え。
…
読んでて悲しくなるくらいに3巻登場の『中山のおっさん』事例はスゴイ。焦燥感にかられて罪を重ねたり、個人情報がバレて逆ネットリンチに遭う過程のリアリティが半端ない。
悪いことは、自分が是正しなくちゃ!
という正義感・使命感がスゴイ暇人を友人・知人を持つ方は是非、それとなく『しょせん他人事ですから』を読ませてほしい。自分は関係ない、と思っていても流れてきた情報を反射的に拡散(RT)してしまうコトだってある。中山のオッサンのように、
…
とならないように…。
スカッと終わらない…
モヤモヤ感の残る結末
になってしまった(特に主婦ブロガー編)ように感じた『しょせん他人事ですから』。
訴えられた方は勿論、訴える方(被害者)も精神的疲弊が半端ない。結果、思ってたよりスカッとしない…。カタルシスが得られない…。
悪口を書き込むのが趣味みたいな主婦にはもっと辛酸を舐めてほしかった…
というようなレビューも多く見られたくらいだ。
なんでも、日本では名誉の価値が低いとされているそうで、アメリカなら名誉棄損で1億円以上の損害賠償を請求することも珍しくないのに、日本ではそこまでの高額請求は滅多にない。あっても高い賠償金が取れるコトは極めて少ないそうだ(参考:「名誉毀損の慰謝料算定(学陽書房)」)。
そこらへん、ただの勧善懲悪ではなく現実的な裁判になるので参考になる。
スカッとしない、とは書いたものの誹謗中傷して訴えられた側は漏れなく大ダメージを食らっている。
訴えるのは骨が折れるけど、成果は手にすることができる
という事実がシッカリと描かれていたのは救いだった。
ネット炎上の法的手続きが体系的に学べる!
実際に弁護士の清水洋平氏が監修してるだけあって、
- SNSでの誹謗中傷被害・関係する法制度
- 訴訟、裁判の過程
- 被害者が選べる法的措置
などなど、実際に炎上されられた際に必要な知識を学べるのもオススメポイント。
法律の話とか、頭痛くなりそうなんだけど…
という方でも安心、
固くなりすぎず、マンガとしてポップに表現されているので読みやすく、ためになる。『異議あり!』のような演出はないけど、ネット関係の分かりずらい法律・手続き関係が面白いほど理解できたりするのはマンガならでは。
ネット社会に法が追い付いてなかったんですもんねぇ
そもそもプロバイダ責任制限法は
SNSがない時代のもんだから
何年遅れてるんだか
今後どんどん認められていくと思うよ
ゆっくりとだけどね
と述べられているように、今後はネット上の誹謗中傷に対応する規定の整備が改善されていく傾向が高いそうだ。
つい、「こんなこと大したことじゃない」と考えて誰かを批判してしまいがちだけど、受け取る側はそうではないことをしっかりと理解しておかないとね。
とりあえず読んどけ!
総括:しょせん他人事ですから
ネットをする方の必読書!
と言っても過言ではないマンガ『しょせん他人事ですから』でした。
いや、私は誹謗中傷なんてしないし…
という方も、いいから読め。とりあえず、読め。いつ自分が加害者、または被害者になるか分からない混沌としたSNS時代の現代社会。自分の言動を改めるためにも是非 読んでおきましょう。
匿名性の隠れ蓑でバカをする事の危うさ、
軽い気持ちで始めた誹謗中傷がお互いの人生を狂わせてしまうこと、
ネットの向こうには相手がいること等を再認識させてくれる良作。
…
…
ネットを使う方は気を付けましょう!
それでは!
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