光が強いほど影が濃くなる
とはよく言ったもんで、7巻から怒涛の鬱、ドロドロの極地のような目を伏せたくなる展開の連続でホトホト参っていたが、9巻では一縷の希望が見えたことによって救われた読者も多いコトだと思う。僕がその一人である。
今までの影(陰鬱展開)がギトギトしていた分、10巻で見せた新展開には心が洗われるかのような高揚感があった。今まではどんな凄惨な結末を迎えるのか、怖いもの見たさで読んできたが、希望的観測ができるようになった劇的な10巻であった。
というわけで、今回は血の轍 10巻のネタバレ記事。
しかして一言一句を描写するような記事を期待している人には申し訳ないけど、そういう紹介はできない。マジでどこの馬の骨が書いたかもわからないような駄作分でストーリーを紹介しても本編の面白さを損なうどころかマイナスなのでな。僕はそれで鬼滅の刃への興味が一切なくなり、流行に乗り遅れたからしてああいった記事は書きたくない。
ということで、詳細なネタバレは書かないので、その点よろしく。
それでは血の轍 10巻の大まかなあらすじの各話をさらっと紹介……はできないので見所をいくつかピックアップしたので、そんな感じで紹介するぞ。
血の轍 10巻
ネタバレ・画バレ含む考察と感想
ママの圧倒的抑圧から解放された静一は?
警察に出頭したママが逮捕され捜査が始まった。
あの日のことを実況見分で回想していた静一は、
自分が幼い頃に従兄弟のしげると同じようにママに高台から
突き落とされた衝撃の記憶が蘇るーー!それから徐々にママの呪縛から心が解放され、
再び吹石さんと接触をはかり、安らいでいく静一。
このまま、新しい希望の日々が訪れるかと思ったとき
静一のもとへ思わぬ訪問者がーー!?引用:Amazon
何度も言うように、本編の面白さを抜くようなネタバレはしないように細心の注意を払ってまとめているけど、ネタバレはネタバレ。魅力を伝えるには絵が最良だと思って付けているので、『真っ白な状態で読みたい』という人はここでブラウザバックだ。これが最終忠告ぞ!
吹石さんと仲直り(?)
静子の狂乱っぷりがクラスメートにも露呈。
数日ぶりに登校したときには学校には静一の居場所はなく、むしろ『異常者の息子』として誰からも忌み嫌われるような存在になってしまっていた。
なにも言わず、諦めたように学校を後にする静一のもとに
と、声をかけてくれたのは吹石さん。超意外な展開。正直 吹石さんには9巻で絶望的な表情を浮かべていたからフェードアウトしたもんだと思ってた。予想外。
あんなに強く突き放しておいて、さらには吹石に言い寄っていた男子の存在も知っていた静一。なんで一緒についてきてくれるのか尋ねると、
どうにも吹石さんの過去、出て行ってしまったお母さんが関係しているようだった。
…
これに静一。
久しぶりに、普通の人間らしい表情を浮かべることになっていた。
長かった。事情聴取パートから本格的に静一の心境が分からなくなっていたが、吹石さんとの邂逅で心に暖かさを取り戻したようにも感じた。10巻の前パート2話の救われっぷりは半端なかった。やっぱ絶望が強いほど、希望も強くなるよね。
吹石さんと共同作業
吹石さんと静一の間で、特に強い感情は実の母親への憎悪。
同じような心境にいる吹石さんに心を許し始めた静一。そんな静一に
『おまじないを教えてあげようか』
と吹石さん。
『おまじない』として吹石さんが静一に提案してきたのは、およそ誰も聞いたことないようなモノで…
………
幸せムードから一転、どうしてこうなった…
そのまま穏やかに、2人で傷を癒していく感じになるかと思いきや……
苦悶の表情を浮かべる静子の表情が見えるが、お構いなしに『おまじない』を続ける静一。
はじめのうちこそ吹石さんの様子をチラッとみながら続けていたが次第に、
恍惚の表情を浮かべながら、
2人で『死ね!死ね!』言いながらおまじないに励んでた。
恐怖、というかもうワケわからなかった。
多分この2人もハッピーエンドにはならないんじゃないかなぁ、、という不安が立ち込めたシーンだった。
静一の精神状態の異常
まぁ物語冒頭から心に闇を抱えた雰囲気の静一だったが、
ついに第三者の前で、自分の心情を語り始めた。
吃音がきつくなっていた静一だったが、
自分の本当の気持ちを、心の許せる吹石さんに語っていくうちに
スラスラと、つっかえることなく言葉を発せられるようになった。
自分の言葉で、自分がどういう風に思ったのかを語れるようになったのは9巻の事情聴取パートらへんからだった。しかし、強制ではなく、自分の凄惨な過去を誰かに伝えられるようになったのは大きな節目、前進のように思った。
……
ちゃんと最後まで、自分の想いを吹石さんに伝えられるようになった静一だった。
顕現する静一の中のお母さん(?)
中盤からは、よく分からない。
夢なのか現実なのか、静一にとっても読者にとっても判別しにくい展開だった。
おそらく静一の中、精神的なところで顕現した静子。
最初は目元しか判別できなかったのに、
静一が思いの丈をぶちまける度に、徐々に可視領域が広がる静子が不気味で恐ろしかった。いや、可視領域が広がるっていうか、静子の纏っていた黒い何かを静一が浴びる、という表現の方が的確かな。
どういう比喩表現なのか分からないが、最終的には
真っ黒に、ベチャベチャになってしまった静一。
………
というね、もうワケが分からない展開の連続だった。
血の轍 10巻 感想と考察
冒頭で述べた通り、これまでの陰鬱が強かった分 吹石さんの再登場には目の前が明るくなった。
これまで、血の轍を読み終えた直後は上がった心拍数を下げるために深呼吸して、そのままグッタリ横になるパターンだったんだけど、10巻の81話を読み終えたときは、居ても立っても居られなくて普段は後回しにしがちな風呂掃除を一気に隅々まで超綺麗に洗ったくらいだ。そのくらい心が躍った。
静子に弁護士が付いて、なんとか実刑を逃れさせようと策を練っているようだけど、そんなのはどうでもいいくらい、むしろ静子には悪いがここらで退場してほしいくらいなんよ。実際 静子があまり登場しなかった第5巻の平和っぷりと中学生らしい恋愛のドキドキ感といったらね。それはそれで見てはいけないものを見たような感じがするが、静子回に比べると2兆倍 読んでて気持ちが良いのよ。吹石さんとのリハビリ的なフワフワ感で完結までいってもいいくらいだ。
という意見もあるだろう。だが、これに僕は与しない。もう十分 血の轍の、他作品にはない斬新さ・恐ろしさは堪能したんだよ僕は。もう勘弁してくれ十分すぎる。もう静子の過去編とかはサラっとやってくれれば十二分。間違っても吹石さんと静一が仲良くやってたら突然、
こんな感じで突然、見開きで静子が現れないことを切に願うよ。頼むぞ押見さん。もうやめてくれ。
冒頭でも述べた通り、まぁ絶望が濃いほど希望も光輝くわけで。が、しかし、それは一般的な話である。押見ワールド全開の血の轍では、一縷の希望が出たら、それを遥かに上回る混沌を覚悟しないといけないところだと思いました(終)。
そんな感じで、次巻の11巻。恐ろしいが、非常に楽しみでもある。。。
ってわけで、血の轍 10巻の感想記事でした。
まだ『血の轍』を読んでいないって方は、こんなネタバレサイトなんかで読んだ気にならないで、是非 本編が全巻配信されてるU-NEXTでページの隅々まで見渡せる最高の状態でじっくり読んでみよう。ことに今回はネタバレがすぎないように所感をアバウトに書き連ねた。これで読んだ気になるなんて、とんでもなく勿体ない。それにあらゆるコマが妙な雰囲気を妊んでいるのが『血の轍』だぞ。
現在、31日間の無料体験キャンペーンもやっているようだ。是非 この機会にどうぞ。
計算したら一日当たり26円はお得すぎる。
そもそも今は無料体験期間で雑誌は読み放題などの特典もある。
解約料金はかからないぞ。
U-NEXTの無料体験は本当におススメ。
3分もかからずに登録できるぞ。
netflixは無料体験を終了したようだ。いつU-NEXTの無料キャンペーンも終了してしまうか分からないので機会を逃さないよう注意。
まちがいなく単行本で読んだほうが良い、血の轍 10巻だった。
それでは。