左腕150キロ超のコミュ障ぼっち『ぼっちなエースをリードしたい』が面白くなりそう

ここに、新連載の野球漫画を読む気力を失って、ペラっペラに干からびた青年がいたとしよう。

彼の意見はこうである

 

野球マンガなんて、今更感がある。あだち充だけでも十分なくらい“名作野球漫画”を描いているのに、わざわざ最近始まった野球漫画を読み始めるのは効率が悪い

 

勿論、この意見に僕は与しない。

確かにこれまで数えきれない名作野球漫画が生まれている。わざわざ新作を読まずともそちらで十分に野球の魅力は堪能できるのかもしれない。が、新作には新作の良いところがあるのも事実である。良い文化というのは過去の名作の模倣をして、そこに新たなオリジナリティが加わって研磨されていくものだ。ドカベン、あぶさん、キャプテンも良い。が、最近の野球漫画には過去にない野球漫画の良さがあるのである。脳のアップデートを怠るな。ラストイニングも読め。

 

 

漫画の楽しみ方なんて十人十色だが連載を待つワクワク感、そしてそれをリアルタイムで他の読者と分かち合う楽しみも漫画の楽しみ方の1つである。

 

でも15年連載してても高校1年の春~秋くらいしか時間が進まない野球漫画もあるし…

 

……鋭い意見である。これには僕も与しかけた。たしかに最近のスポーツ漫画では展開が遅いものもある。単純計算で甲子園まで描くとした場合 60年もの月日を必要とする野球マンガさえある。

 

 

そんな大きく振りかぶってのようになる野球漫画もあるが、アレはアレにしかない面白さもあるのだ。え?ここで言及しろって?却下だ。そもそも最近は読んでないんだよアレ。

 

 

 

話が飛んでしまったのでもどる。

筆者の僕は野球は素人同然のレベルである。体育の授業でトンネルして「馬鹿野郎!」と味方チームから怒号が飛んでいた僕だが、野球はプレイ・観戦どっちも好きだ。そんな野球初心者でしかない僕が最近 ハマっているのが『ぼっちなエースをリードしたい』という新作 野球漫画である。

 

 

 

 

ぼっちなエースをリードしたい

引用:裏サンデー

 

野球名門校でスタメンを張るスーパー1年生捕手の⽝井⼭南央(いぬいやまなお)は親の転勤によって埼玉に転校することになった。
犬井山は県内で「公立の怪物」の異名を持つ豪腕サウスポーの宇佐木北斗(うさぎほくと)と⼀緒に野球をするため公立野球部の門を叩く。

宇佐木は2年⽣にして球速150キロを超える怪物投手。
超人的な能力を持ち、グランドでは周囲に人を寄せ付けないその雰囲気はまさに「エース」といった風格の人物。
でも実はそんな怪物エースにも人並みの弱点があって…。

頭脳派スーパーキャッチャー×怪物エース(弱点有り)の凸凹バッテリーが贈る高校野球マンガ!

引用:裏サンデー

 

あらすじはそんな感じだ。

 

一応 画風を知っていただくために補足すると

引用:ぼっちなエースをリードしたい 2話

 

主人公の一人はキャッチャーの犬井山。甲子園常連校の青森山田青森山多から親の都合で埼玉に転校してきた。彼が転校したのは私立の野球強豪校ではなく普通の県立 月見高校。そこを選んだ唯一の理由が

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 1話

 

公立の怪物とも称される、左腕で球速150キロ超を誇る宇佐木(うさぎ)の存在だった。

 

想像以上の怪物っぷりで期待度の高まる犬井山だったが、すぐに宇佐木の異変に気付く。

引用:ぼっちなエースをリードしたい 1話

 

後輩はみんな怯え、同級生にすら気を遣われている宇佐木。どうも周囲と馴染んでいない宇佐木だったので犬井山も声をかける。

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 1話

 

 

 

 

「いつものようにソッポを向かれてしまった」と思う犬井山だが、去った宇佐木を追っていくと

 

 

 

 

 

(空白)

 

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 1話

 

 

めちゃくちゃに落ち込んでいる公立の化け物を発見。

 

 

 

そして

 

 

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 1話

 

と犬井山が気付いたのが1話の大まかな流れだ。

 

 

 

エースがコミュ障

引用:ぼっちなエースをリードしたい 2話

 

コミュ障系主人公が最近流行っているのかは定かではないが、今回の「ぼっちなエースをリードしたい」のエース 宇佐木北斗もコミュ障である。具体的には「引っ込み思案」で「自意識過剰」。

 

コミュ障に千差万別あるように、宇佐木はサウスポーで球速150キロ超えの“一目置かれる”タイプのコミュ障。あらゆる漫画で使われ過ぎている「コミュ障」だが、一目置かれるタイプのコミュ障は僕的には新鮮だった。誤解されやすい部分もあるのでなんとも面白いキャラに仕上がっている。

 

 

仲間外れになりたくない、という理由で必死に練習すればするほど野球能力はメキメキと上達し、気付けば球速は150キロを超え、周りの友達は「オレ達はいらないな…」と遠のいてしまう有様。友達の会話に入りたいと思い、野球の練習をすればするほど逆に浮いてしまうジレンマ。不器用すぎる…

 

後輩の犬井山に指摘されたことで、もう野球なんてやめた方がいいんじゃないか…と激しく落ち込む宇佐木に

 

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 1話

 

『一緒に友達を作りましょう』

 

と犬井山が提案したところから物語がスタート。斬新だ。いままでに前例の少ないタイプのコミュ障系エースということで、これからが非常に気になる展開となった1話だった。

 

 

 

 

野球要素は今のところ薄い(?)

らしい。

僕的には気にならないのだが、野球漫画とおススメして無理矢理 読ませた友達いわく野球要素は薄いそうだ。

 

これはもう仕方ないコトなのだろうけど、野球マンガというのはいわばレッドオーシャン。MAJOR、ダイヤのA等 野球マンガは他のスポーツ漫画に比べて多い。掘り下げられすぎたジャンルのようにさえ感じるのは僕だけだろうか。

 

そんな飽和したジャンル、野球漫画なので既に他の名作を読んでいる場合が多く、野球描写を詳しく描いた作品を読破した人はパンピーでも野球部並みの知識を有している場合がある。厄介だ。これ以上 新しい知識はないのではないか、とまで語られ尽くされた野球漫画なので読者が作者に求めるレベルが非常に高い

 

 

とはいっても、ぼっちなエースをリードしたい(以降 『ぼっちエース』)は現在 11話。大まかなキャラ紹介真っ只中で、練習試合も最近行ったところだ。「野球要素は薄い」と判断を下すには早すぎるだろう。それに今のところ 主人公達以外のキャラ達も個性に富んでいて、見ていて楽しい。キャラ同士がわちゃわちゃするだけでも一定の評価はさせそうな予感はする。僕のおススメはヒツジちゃんだ。

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 4話

 

安直に女子マネージャーをおススメしているわけじゃないぞ。高校デビューでヤンキー化を目指したけど素の性格の良さが滲み出てしまう、という分かりやすい感じが良いだろ。是非 ヒツジちゃんの一挙一動に注目していただきたい。

 

 

 

絵が上手い

ぼっちエース以外にも東京野球女子百景など、野球マンガを描いてきた水森崇史である。絵、それも野球関係の絵が下手なわけがないのである。

 

 

Webマンガにおいて普遍的に足りなくなるもの(~省略)、って2記事連続で『絵』の重要性を説いた。今回は割愛するが、誰でも簡単に投稿できる、ということで絵の敷居が大幅に下がった結果、Webマンガにおいて「作画」レベルは大幅に低下した。や、それでもモブサイコみたいに人気出る作品もあるから何とも言えないが、絵が下手なばっかりに手を出してもらえない作品をこれまで何度も見てきた。

 

下手でなくとも「大衆ウケしなさそうな」絵の堕天作戦が伸び悩んでいることからも、『作画』が人気に直で影響があることが分かる。アレが人気が出ないとなると、いよいよ僕はやるせなくなるんだけど…

 

 

 

そんな中、ぼっちエースは開始数話から圧巻の絵の上手さだった。

 

凄まじくカッコいいだろこの絵

 

この前紹介した『殺し屋は今日もBBAを殺せない』ってマンガが僕的にはマンガワンの新連載陣の中ではトップクラスだと思うが、ボッチエースも頗る上手い。青春系を描くにはうってつけな爽やかさがある。1話公開時には「作者女だろ。キャラの線が細くない?」といった意見があったが、個人的には高校生として丁度良い体格を描いていると思う。ヘンにムキムキせず、しなやかな良い体型だと思う。それに作者は先月32歳になった立派な♂だぞ。誕生日おめでとう崇史。

 

 

 

 

引用:ぼっちなエースをリードしたい 2話

 

 

以上 『ぼっちなエースをリードしたい』って漫画についての紹介だった。

 

冒頭で述べたように、あらゆる文化・格式は徐々に変化するもの。野球だって、「権藤権藤雨権藤」でお馴染みの中日 権藤 博が現在の投手3年分の投球回を当時 1年(投球回 429)でこなしていたように、昔と現代では結構 違うもんだ。

 

 

これまでに数多の野球漫画が生まれてきた。

 

さて『ぼっちなエースをリードしたい』は新風を吹かせることできるのか。今後に期待できる作品であることは間違いない。

 

 

マンガは下記リンクから。今のうちにチェックしておくことをおススメする。

 

それでは
(追記)

2021年2月15日 完結しました。
水森崇史先生、おつかれさまでした。。

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