これ読めないヤツは頭悪い!
と断定する信者読者を生み出すような作品が年に数本出てくる。
と、読んでるだけでセルフ自己承認欲求満たし。勢い余って他人の価値観にまで難癖付け始めてしまうような熱烈なマンガである。
今回 紹介するマンガは『日本三國(にほんさんごく)』。中坊の時にTokyo Driftを1か月ぶっ続けで給食の時間にリクエスト曲として流すようなセンス光る友人からの紹介で知った漫画だったんだけど、これがまた面白くてな。伊達に代々木アニメーション学院を中退してないアイツは。
まだまだ序盤の日本三國。
Tokyo Driftの歌詞よろしく全容がイマイチつかめない。ぶっちゃけ
- 文章・漢字が多すぎる
- 登場するキャラの半数以上はムサ苦しいオッサン
という点から中坊以下からのウケは最悪間違いなし。鬼滅キッズは全員そっぽ。キャラの大半は目のハイライトが消えていてコワい、という始末である。
誰にオススメできるのか分からない漫画だけど、きっと誰かにぶっ刺さることも間違いなし。
それではまとめていきます。
もくじ
ザックリと!
日本三國ってどんな漫画?
この国を、再統一する――
文明崩壊後の近未来、再び戦国時代と化した日本を再統一すべく一人の青年が立ち上がった。名は三角青輝。後に奇才軍師と称される彼の伝説が、いま始まる!!
引用:裏サンデー『日本三國』
日本三國のあらすじ【ネタバレ含む】
舞台は廃退した日本。
簡単に状況を説明すると
- 廃退後の日本
- 文明の大幅退化&人口減少(十分の一)
- 3つの国家が群雄割拠
という感じ。
近未来なんだけど、戦国時代のように策謀・戦争が絶えないような混沌な時代。
主人公は三角 青輝(あおてる)。
現代とは違い、15歳から成人とみなされているのかタバコを嗜み、妻もいる士農官(公務員的な堅実な仕事)。子供の頃からの趣味はマッピング(地図作り)。頭カッチカチともいわれる理性的な人物で、育った家庭環境から兵法や歴史書などにも堪能。
妻は東町 小紀(さき)。
青輝に比べて感情的で正義感の強い人物。
青輝の智謀を高く評価して、もっと大きな仕事に携わってもらいたいと思っている小紀。しかし、青輝自身はそんな大層なコトは望まず、辺境で穏やかに過ごせればそれでいいようだった。
しかし、どこもかしこも混乱の時代。
絶対君主の一族たち『貴族』が国を治め、青輝達『農民』に対してはいかなる暴虐行為も許されるという世紀末っぷり。
自分の領主であっても、ひとたび機嫌をそこねるだけで、
……
たやすく平民の命が奪われる時代。
義憤にかられて小紀。
青輝が抑制しようとするが……
と、上流階級の役人にたてついてしまう。
………
一時はどうなることかと思いきや、意外にもすんなりと撤退していった役人たち。
と安心して眠りにつくと、
青輝の横で寝ていた小紀が消えており……
というのが大まかなあらすじ(第1話)。
1話を読むなら!
1話だけ(80ページ!)なら各アプリや裏サンデーなどで読めたりします。百聞は一見に如かず。気になった方は是非 読んでみてね。
(Webで読みたい方は裏サンデーで読みましょう)
世界大戦後、日本が三国時代に突入する話 (1/21) pic.twitter.com/f2nxYAnMwo
— 松木いっか (@IKKA_neko) March 10, 2022
(Twitterでも読めます、が、ページ数が非常に多いのでアプリか裏サンデーの方がスラスラ読めると思います。)
『日本三國』の特徴・面白さ
まだ序盤も序盤だけど、日本三國の面白さ・特徴は以下の3点。
理知的な主人公
先述したように、『頭カッチカチの(屁)理屈男』とも呼ばれる主人公の青輝。
孫氏や戦争論といった書物や過去の文化資料にも詳しく、理性的な思考が取り柄。感情よりも論理を重視する性分らしく、一度抱いた殺意をもスッと引っ込めて理性を取り戻せるという筋金入りの論理思考。
乱世の統一、ということで少年漫画なら刀やら特殊能力やらでのし上がっていくところ。この日本三國では
- 達者な弁論術
- 深く膨大な知識
で困難を切り開く主人公の魅力は必見だ。
キッズが忌避する文章量の多さ
この文章量がデフォの日本三國。余白が少ない重厚感のある絵に加えて、吹き出しの中まで文字がいっぱいでお得感がある(脳死)。ただ単に文章が長いだけならまだしも、内包されている漢字が多すぎる。ひらがなとかカタカナに比べて漢字の圧迫感たるや…。
ドンキ大好き地元のマイルドヤンキー長谷川君に読ませてみたら
と案の定な感想だった。
ちなみに脱落ページは1話の11ページ(↑)。ここら辺で脳がショートしたらしい。ごめんね長谷川君。さ、ドラゴンボール読もうね(ちなみに長谷川君は銀魂ですら『文字が多い!新聞か!!』という男である)。
現代の建造物そのままで戦国時代?
何度も言うように退廃した日本が舞台。テレビやスマホ、電車やらのテクノロジーはほとんどは失われているけど、高速道路やパチンコ店などの建造物は健在。図書館などでは本も残っているので武器製造の知識や植物の生産方法なども残存。
まだ本格的な戦争描写は描かれていないが、歴史モノ・仮想戦記モノの漫画が好きな方には堪らない要素なのでしょう。連載を重ねるごとにスケールがデカくなってるから心配になるレベル。
オッサンが多すぎる…
キング・ブラッドレイ、ネテロ、ウォルター・クム・ドルネーズなど、名作漫画に渋いオッサンの存在は欠かせない。少年漫画を読むには年を重ね過ぎた熟練の読者層にとって『若くてカッコイイ』というキャラに嫉妬辟易としてるのである。
そこで日本三國。
序盤から非常にカッコイイおっさんが登場。
オッサンを格好良く・ハードボイルドに描けているマンガにハズレはない。のだけども…
……
さすがにオッサンが多すぎないか??
と。また濃いオッサン出てきたで、じゃないんだよ松本。流石にオッサンが多すぎる。オッサンばかりの画面に疲れる。読んでると加齢臭がする。もっとこう、若ぇヤツはいねぇのか!
読んでてゴールデンカムイの伝説的広告思い出した(これで『読もう!』ってなるヤツいたのか…?)。
大丈夫か松木マジで。有能で人情に厚く、人間味のある魅力的なオッサンを次々に登場させるのは良いけど、そろそろ主人公たち若手(特に女性キャラ)も見たいぞ。
まだ2巻だけど!
日本三國 名シーン
名シーンをいくつか。
血みどろ吉本新喜劇
邪魔すんで~
邪魔するんやったら帰ってや~
あ、あいよ~
言わずと知れた
吉本新喜劇の定番ギャグである。
主人公 青輝がいる『大和』が関西に位置することもあって、関西色が強く出る日本三國。ちなみに読者からは
と、強烈な関西弁感染力を指摘する声も。
関東の人は注意。
気付かないうちにエセ関西弁なっとるで。
この世を変えるために~
媚びなど 売る必要性があるんなら、そんなもんいくらでも売ったります。
じゃけど、日本時代から根強く残る この糞みたいな同調圧力には、殴られようが、斬られようが、殺されようが、儂は絶対に屈しません。
本気でこの世を変えるために、
ここに来たんです。
………
日本三國 総括
どことなく名作の香りがする
という総括の日本三國でした。
聡明な主人公の知力・弁論術から
と早合点しそうだけど、そんな短絡的なマンガではない。ハイ論破、的な軽さじゃない。大丈夫、『それってあなたの感想ですよね?』とか言わないよ青輝。
今現在、賛否両論出ている日本三國。
面白さが分かる人の熱量が行き場を失って、冒頭のように『これが面白くない奴らは知能が低い!』という無差別通り魔みたいな熱狂的読者が出ちゃってるけど、そんな読者が生まれる土壌(≒面白さ)が確実にあると思う。
最後にネタバレしちゃうと(1話で分かるけど)、主人公の仇が自国の最高クラス権力者で前途多難。それでも決意を決めた青輝の強さ・危うさは必読。
あぁ、はやくあのデブ(誰とは言ってない)を絞首台に送ってくれよな青輝。。
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