【超良本!】『推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』の書評・感想レビュー

ブログ・SNSの根幹は文章

である(断言)。皆様が今 読んでいるようなブログ媒体では見やすいレイアウトやオシャレなデザインなどが重要視されることもあるが、結局のところ読むか読まないかは文章・表現力が最重要。異論は認めん、認めんぞ。

でも筆者の好きだった個人ブログ、全然アクセスがないからって更新止めちゃったじゃん…?

…それはね、もう、Googleとみんなが悪い。ブログにまでルッキズムを求めやがる。検索結果上位に表れるWikipediaのように簡素で分かりやすい記事よりも、どこの誰だか分からないヤツによる気持ち悪いくらいに妄想を爆発させた個人ブログの方が読み応えあったよ絶対…。

 

 

というワケで、今回は「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」という超現代っぽいタイトルの本について。ブログのような比較的 長い文章を書く方は是非、手に取って読んでほしい。文章・表現力がないのにデザインやレイアウトがやけに凝ったブログなんて、店構えだけ上等な料理屋みたいなもん。店を出るころには「クソっ!騙されたっ!」って思うだろ。

 

ライティングの良い本、ないかなぁ~

なんてふわふわ思ってる人はマジで読んでくれ。僕はバカだから横文字使われると分かんねーけど、文章表現が上手になりたい人は読むべき一冊なのは間違いないぞ。

 

 

 

 

 

推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
大まかな内容・おすすめポイント

推し語りしたい人の必読書!

あなたに「推し」はいますか?
応援しているアイドル、声優、バンド、YouTuber。
お気に入りのアニメ、漫画、本。
大好きな舞台、コンサート、ライブ。
あるいは、スポーツや釣りなどの趣味も、推しに入るかもしれません。

本書は、アイドルと宝塚をこよなく愛する著者が、書評家として長年培ってきた文章技術を「推し語り」に役立つようにまとめあげた1冊です。SNS発信、ブログやファンレター、友人とのおしゃべり、音声配信などの発信方法ごとに、推しの魅力を伝える技術を伝えます。

引用:ディスカバリートウェンティワン「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」

そんな「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」の概要を紹介していくぞ。

 

 

「推し」について、語れるようになる!

「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」は

  • 第1章-推しを語ることは自分の人生を語ること
  • 第2章-推しを語る前の準備
  • 第3章-推しの素晴らしさを喋る
  • 第4章-推しの素晴らしさをSNSで発信する
  • 第5章-推しの素晴らしさを文章に書く
  • 第6章-推しの素晴らしさを書いた例文を読む

の6章に加え、おまけの「推しの素晴らしさを語るためのQ&A」によって構成されている。日常的な会話から、SNSのような短文、ブログのような長文と幅広い場面で活用できる。

 

 

「推し」について、だけじゃない!

いや、私は推しなんていないし…

「推し」と書くとアイドルとか俳優みたいなキラキラした存在を思い浮かべちゃうけど、それだけじゃない。むしろ漫画や小説、映画や旅行など、自分が感情を動かされるものなら何でも良い。好きな対象があるなら、何でも良い

 

友達に語るときや、ネット上で不特定多数に向けて語るときに、

なんか伝わってる感じがしないなぁ…

とか

我ながら表現がありきたりすぎて、すごい稚拙に感じる…私が感じたのは、こんなもんじゃないのに!!

という経験をされている方はマジで読んだ方が良い。伝える技術がギュンと上がるから。

 

ブログでアクセス数が欲しい方は目先のSEO知識を知るだけでも良いんだろうけど、掃いて捨てるほどあるブログの中で、偶然 通りがかった読者が「ん、なんかコイツの記事、読み応えあるな…」と足を止めさせるほどの文章・表現力を習得したい人は読まない理由がない。

 

 

超読みやすい!

まったく難しくない

「推しの素晴らしさを語りたいのに『やばい!』しかでてこない」だった。ギュンと文章・表現力が上がるのに、文学書のような堅苦しさはない。

 

これまで僕は文章力という、イマイチ分からないものを極めようとして「レトリック理論」とか「縦横無尽の文章レッスン」など様々な本を読んだけど、本作品が一番 読みやすかった。

 

著者の三宅香帆氏が

伝えたいことが伝わるのが、うまい文章だ

と語っているように、伝えたいことを伝えるためのコツが丁寧に解説されていたのがポイント。平成生まれの書評家というコトも相まってか、合間に挟まれる体験談にも「わかる~!」とサクサク読めた。

 

※本書を読んだ後、金と時間が余って仕方ない人は是非 レトリック理論も読んでほしい。筆者が知り合いの東大生から「めっちゃ分かりやすいぜ!」と勧められて読み始めたけど、難解すぎて読了に3年かかった代物だよ。「あぁ、自分って頭悪いのかなぁ…」と挫折感を味わったけど、あんなもんどういうヤツが納得しながら読めるんだ?Amazonは高評価が多かったんだけど???世間は僕が思ってるより知能が高いのか?

 

 

モチベーションが上がる

  • 好き・嫌いな感情が大事
  • 正しさなんて考えなくて良い

など、途中ピュアすぎて「ホントかよ、なんか胡散臭い自己啓発本のにおいがするぜ…」と疑心暗鬼になりながら読み進めたけど、読み終えるころには綺麗さっぱり霧散していた。何かを伝えるときに邪魔者となる要素・原因について丁寧に腑分けされ、解説されていた。

 

僕としては、面白いと思うのは(屁)理屈を並べて主張し、ぱっと見 理路整然としていて正論に見える文章だ。筋が通った文章こそが気持ちが良い文章だと思っていた。しかし、固執するあまりに最近は書いていて堅苦しいし、障害になってきてたと思う。

 

そこで、

もちろん、写真を残したり、グッズを置いておいたりすることも「好き」を保存するいい方法でしょう。

でも、一番鮮明に残る「好き」は言葉です。

「好き」は儚いからこそ、鮮度の高いうちに言葉で保存しておいたほうがいいんです。そして、言葉という真空パックに閉じ込めておく。

という本書の一節が響いた。感銘を受けた。

文章なんて超個人的なモノである。つい「読者のために!」みたいな優等生マインドがデカくなりすぎて身動きがとれなくなったが、このブログは僕の城だ。自分の感情を保管するためにも、好き勝手やっていいはずなんだ、と思い返すきっかけになった。

 

 

技術・ノウハウが詳しい

ありきたりな言葉に侵されない

ために必要な工夫・技術についても書かれていた。

 

ところで皆さん、クリシェって知ってますか?

クリシェとはフランス語で「ありきたりな言葉」にあたる用語です。日本語で言うところの「常套句」。人によって基準は様々だけど、Twitterで1回スクロールしたら確実に表れる「ヤバい」、「泣ける」、「考えさせる」、「楽して稼げる」、「尊い」なんかは典型的なクリシェ。悪いわけではないけど、読者としてはもう、何の手掛かりにもならない、鳴き声みたいなもんだ。

 

呪術廻戦の映画が泣けてヤバくってさァ!
もうめっちゃ考えさせられたわ!

という感想、どうだろうか。何に泣けて、何がヤバくて、何に考えさせられたのかサッパリ分からない。なんだったら何も考えられてなさそう。そんなクリシェという常套句が、いかに僕達の超個人的な感想を奪っているのか・どう対処すべきか?について徹底的に説明されていて勉強になった。

 

 

ネガティブな感情だって書けるようになる

本書では「推しの魅力を伝えたい!」といったポジティブな感想の書き方だけではなく、「ここがマジで嫌だった…」というようなネガティブな感想の書き方についても詳しく紹介されていた。で、これが素晴らしく的を射てると思った。

 

上のは終末のワルキューレがアニメ化したときに少しバズった記事である(1日2万PVくらい)。なんでこんなに賛否両論分かれる注目記事になったのかな、と思い返したら本書に書かれていた通り、

自分のネガティブな感情は、自分のコンプレックスや自分のマイナス体験につながっていることが多いから。

であり、読了直後に感じた「中坊のときの黒歴史ノートを読んでる時の恥ずかしさ」や「こんな厨二の妄想みたいな漫画が売れて僕の推してる漫画が売れないなんて…、という嫉妬心」が良く書かれていたからだと思う。結果、怒号のような中傷メールをたくさん頂いたけど、まぁ当時の僕がそう思ったんだから仕方ない。だって何度読んでも聴いても「イッツアパーリィータイム」で寒気が走ってたんだからな。パーティ、じゃなくって、パーリィが気に食わなさすぎた。

 

ネガティブな感想を言語化するのは、ネガティブな気持ちを抱いた元ネタを、自分の内側から引っ張り出す必要があるそうだ。ポジティブな感情もネガティブな感情も、細分化することで多くの人に伝わる良い文章になるんだってよ。

 

あの映画が"どう気に食わなかったのか?"を超論理的に書いたレビューを投稿したい

という方は是非。理路整然とした、骨のある批評記事が書けるぞ。激烈に炎上してバズっても、僕は知らん。

 

 

「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」の著者

書評家の三宅香帆氏です。

その高い学歴と、健やかな風貌から支持を集め、

https://twitter.com/m3_myk/status/1573177986295435266

という結婚報告時には学歴厨のアイドルオタクである知人の肩をガックリ落とさせた人物。そういえば数年前、ヤツが

読め!ハマれ!

とリンクを送ってきたのが著者の論考『AKB~日向坂がなぜ流行ったのか?』であり、女性アイドル界隈では多くの人から知られている三宅香帆氏。推しの魅力を語る・伝える、という分野においては師範的な人物である。

 

 

 

 

推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
面白かった部分

「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」を読んでみて面白かったところや、感銘を受けた一節を備忘録として抜き出しておく。多くなり過ぎたので数を減らしたが、少しでも気になるフレーズがあれば是非、本編を読んでね。

 

 

スラング・専門用語について

SNSやインターネットで「スラング」つまり「仲間内でしか通じない言葉」が生まれやすいのも、この原理をみんなが共有しているからです。

俺とお前の間に、説明なんていらない、仲間だよな?同じ言語を使っている同志だよな?そんな暗黙の了解をとるために、私たちはスラングを使い続けるんです。

注釈(説明)をつけない言葉の方がスムーズに伝わる。情報の細分化や譲渡が必要のない関係性でのみ有効な専門用語やスラングの使用についても学べた。どこかみんながなんとなく「わかる」と感じる、最大公約数の言葉。

 

なんとなく、ってところが重要なのかも。レトリック理論にも書いてあったけど、過剰に説明をしてしまうのは読者の予想する余地や楽しさを奪うから。例えば「オレじゃなきゃ見逃しちゃうね…」というフレーズは、そのまま泳がせて良いっぽい。説明は野暮。知ってるやつは(ハンターハンターだ…!)って親近感を覚えるし、知らない人は目が滑るだけだから。

 

 

言語化≒細分化

それは、感想のオリジナリティは細かさに宿るからです。

たとえば、ライブの感想に「最高!」という言葉しかでてこないという悩みは、ライブの「どこが」最高だったのかを言えたら解消されます。ライブで「この曲が」演奏されたのが嬉しくて、「この歌詞が」あらためて響いて、「この演出が」自分の心を揺さぶった。そんなふうに、最高だった点を細分化さえできれば、じつは語彙力なんてなくても、あなたのオリジナルな感想になり得るのです。

あなたの心に、どこが響いたのか。それを細かく上げることによって、あなたの感想はあなただけの言葉になります。

感情を細かく分析すること、細分化がとっても重要。

きれいにまとめるのも必要だけど、それ以上に具体的に自分の感情や考えを丁寧に書くのが重要。大切なのが語彙力じゃなくて、細分化。

 

 

「面白さ」とは

「共感」か「驚き」である。

「共感」とは自分も同じような体験や感情を知っていて、それをぴったりくる言葉にしてもらったことへの快感です。短歌だったら「あるある」と言いたくなるような瞬間をぴたり切り取ってもらったことへの嬉しさである、と。

一方で「驚き」は、それまで見たことのないような未知の手法に出会ったときの快感です。そういう表現方法があったのか、そこでそうくるのか、という裏切り、意外性への感動ですね。マジックを見ているかのような感覚です。

面白さ=「共感」、「驚き」。

 

そういやラーメンハゲも「美味しさ」について、

引用:ラーメン才遊記

 

美味さとは「未知への感動」と「既知への安堵」とか言ってたな。何事もバランスが重要とはいえ、文章においては面白さの根幹として「共感」と「驚き」があることについては留意しておきたい。

 

 

 

 

総括:推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない
読書レビュー

主体的に人生を楽しみたい方に!

超おすすめの「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」だった。

 

は?
文章とか表現力を高めたい人が読む本でしょ?

そうなんだけど、そうじゃない。それだけじゃない。アイドルのライブ、趣味の旅行、グルメ、文房具集めなど、そのままでも十分楽しめるが、それを紹介するときに

  • なにが・どう良かったのか?
  • なんで自分の心が動かされたのか?

を考えることで、より一層 自分への理解が深まる。もちろん胸に秘めておいてもいいけど、「好き」というポジティブな感情は語っている・伝えていく過程でハッピーな連鎖が起きる(共感者が現れたり)。とんでもなく抽象的な表現になっちゃったけど、自分の考えを文章にすることで、能動的に人生が楽しめるというコトにも繋がる。

 

 

僕達は現在、とても多くの言葉に接触させられてしまう。

自分が

面白かったなぁ…

って思っても、ネットレビューを見たら罵詈雑言。「これを面白いと思う人は低能!」「ストーリーがぺらっぺらの駄作!」とか書かれてしまっているのを見て、

…本当はそんなに面白くなかったのか…?

と自分の気持ちが冷めてしまった経験をすることも多々ある。意思に関係なく、ただ多く接触しただけの「強い言葉」が僕達の感情を侵す。

 

そんなときに、他人の言葉に惑わされないためにも是非 本書を読んでほしい。ちゃんと自分の言葉にすることで、人生が主体的に楽しめるようになる。発信全般、何にでも応用がきくのが本書ぞ。

 

 

最後に心に残った三宅香帆氏の一言を紹介して記事の締めとさせていただく。

 

あなたの感情を保存しておけるのは、

あなたの語る言葉だけなのです。

 

少しでも気になった方は読んでみてね!

 

 

 

 

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